2019年の日韓関係は「戦後最悪」と評された。そんな彼らの「反日」の行動原理を探るべく、
「週刊ポスト」で『逆説の日本史』を連載中の作家・井沢元彦氏はソウル取材を行なった。
彼の地で「日韓断絶の根源」を目の当たりにすることになった井沢氏は、
韓国の対日行動原理に「恨(ハン)」という特有の精神があることを著書『恨の法廷』(1991年)で言及している。
韓国における「恨の精神」は、日本での「恨(うら)みの心情」とは似て非なるもの、もしくは全く異なるものである。
中国王朝の影響下に置かれた時代が長い朝鮮半島の国家は、解消困難な抑圧状況に対する怒りや不満、あるいは抵抗心を、
逆に「生きるエネルギー」に転換させようとした。その状態を「恨」という。
現在の韓国と「恨」を乗り越えて関係を築くことはできるのか、井沢氏が考察する。
文在寅大統領が退任し対立する勢力から大統領が選ばれれば、日韓問題は解決されるのだろうか?
確かに今より状況は改善されるかもしれない。前の大統領、つまり保守派の朴槿恵政権の下では、
一度は慰安婦問題を完全に解決するという合意がなされた。これは革新派政権では絶対あり得ないことだ。
しかしそのことが国内的には朴槿恵大統領の支持率を落としたことも事実である。
じつは彼女は慰安婦の件では安倍総理と握手しながら、
外遊するたびに日本はひどい国だという悪口を言いまくっていた。「朴槿恵の告げ口外交」で、
これもまったくの事実である。なぜそんなことをしたのかと言えば、
慰安婦問題などで「妥協」したことで彼女を親日派(=売国奴)と批判する向きがあったからだ。
とにかくどんな合理的なことでも日本の言い分を認めれば「親日派」にされてしまうのだから困ったものだ。
その朴政権を「親日派」だと徹底的に批判して政権を奪い取った文大統領が、日本側のきわめて合法的な
「日韓基本条約を無視するな」という要求をなぜ黙殺するのか、これでおわかりいただけるかと思う。
しかし大人はそうでも、若者は違うのではないかという期待を当初私は抱いていた。
若者は常に現状に批判的だし、感情に走る大人に比べて理性的で論理的な面もある。視野も広い。
そこで伝手を求めて韓国の大学生を招き、ソウルの日本料理店で酒を飲みながら意見を交換した。
ちなみにその日は「日本軍慰安婦被害者をたたえる日」、
つまり8月14日の夜で他に日本人客はいなかったが、韓国人客で盛況だった。
ちょうど鬼畜米英を唱えていたころの日本にアメリカ映画や音楽のファンが結構いたように、
今の韓国にも日本文化のファンは大勢いる。
また日本政府に対してはともかく、個々の日本人に対しては強い反感を持っている人は少ない。
それがせめてもの救いではあるのだが、結論から言えば私は若い世代にも失望した。
続く
「週刊ポスト」で『逆説の日本史』を連載中の作家・井沢元彦氏はソウル取材を行なった。
彼の地で「日韓断絶の根源」を目の当たりにすることになった井沢氏は、
韓国の対日行動原理に「恨(ハン)」という特有の精神があることを著書『恨の法廷』(1991年)で言及している。
韓国における「恨の精神」は、日本での「恨(うら)みの心情」とは似て非なるもの、もしくは全く異なるものである。
中国王朝の影響下に置かれた時代が長い朝鮮半島の国家は、解消困難な抑圧状況に対する怒りや不満、あるいは抵抗心を、
逆に「生きるエネルギー」に転換させようとした。その状態を「恨」という。
現在の韓国と「恨」を乗り越えて関係を築くことはできるのか、井沢氏が考察する。
文在寅大統領が退任し対立する勢力から大統領が選ばれれば、日韓問題は解決されるのだろうか?
確かに今より状況は改善されるかもしれない。前の大統領、つまり保守派の朴槿恵政権の下では、
一度は慰安婦問題を完全に解決するという合意がなされた。これは革新派政権では絶対あり得ないことだ。
しかしそのことが国内的には朴槿恵大統領の支持率を落としたことも事実である。
じつは彼女は慰安婦の件では安倍総理と握手しながら、
外遊するたびに日本はひどい国だという悪口を言いまくっていた。「朴槿恵の告げ口外交」で、
これもまったくの事実である。なぜそんなことをしたのかと言えば、
慰安婦問題などで「妥協」したことで彼女を親日派(=売国奴)と批判する向きがあったからだ。
とにかくどんな合理的なことでも日本の言い分を認めれば「親日派」にされてしまうのだから困ったものだ。
その朴政権を「親日派」だと徹底的に批判して政権を奪い取った文大統領が、日本側のきわめて合法的な
「日韓基本条約を無視するな」という要求をなぜ黙殺するのか、これでおわかりいただけるかと思う。
しかし大人はそうでも、若者は違うのではないかという期待を当初私は抱いていた。
若者は常に現状に批判的だし、感情に走る大人に比べて理性的で論理的な面もある。視野も広い。
そこで伝手を求めて韓国の大学生を招き、ソウルの日本料理店で酒を飲みながら意見を交換した。
ちなみにその日は「日本軍慰安婦被害者をたたえる日」、
つまり8月14日の夜で他に日本人客はいなかったが、韓国人客で盛況だった。
ちょうど鬼畜米英を唱えていたころの日本にアメリカ映画や音楽のファンが結構いたように、
今の韓国にも日本文化のファンは大勢いる。
また日本政府に対してはともかく、個々の日本人に対しては強い反感を持っている人は少ない。
それがせめてもの救いではあるのだが、結論から言えば私は若い世代にも失望した。
続く