1 :
名無しで叶える物語(王都図書館司書室)@無断転載は禁止
2016/12/11(日) 00:03:14.14 ID:kcsiZYqo
【昨年】
花陽(ココア買おうっと)
チャリン
花陽(中3)「あ(百円…落としちゃった)」
コロコロ…カラン
花陽「えぇー!?」ガクッ
花陽(このフタって、なんで穴あいてるんだろう…っていうか、位置が悪すぎるよ)トホホ
花陽(わざわざフタを持ち上げて探すなんてしたくないし…しょうがないよね)
花陽(今日はもうココアを飲んだつもりで諦めよう…それに家に帰れば買わなくても飲めるし)
凛(中3)「かーよちん♪」ドン
花陽「ピャァ!?…り、凛ちゃん…やめてよぉ」
凛「えへへ…ごめんにゃ」
花陽「もう!私が諦めてなかったら今ので二百円だよ!?」プンプン
凛「な、何の話…?」
「…」
【後日】
花陽「あれぇ?…自信あったんだけどなぁ」
凛「かよちん。どうだったー?」
花陽「思ったより悪かったの…ほら」
凛「って、全部凛より上じゃん!?」
花陽「でも、これとこれとこれは100点取れる自信あったのに…まさか全部90点台なんて」ガクッ
凛(うぅ…その点数で落ち込まれると凛の立場が無いにゃ)ゲンナリ
【12月24日】
花陽(今日は凛ちゃん家で、みんなでクリスマス♪)
花陽ママ「あら、そうなのー?わかったわー」
花陽「お母さん?どうしたの?」
花陽ママ「予約してたケーキの値段、間違えてたみたいで…100円足りないんだって。ちょっと行ってくるわー」
花陽「うん…じゃあ先に凛ちゃん家に行ってるね」
花陽(100円足りないなんて…凛ちゃんのお母さんも、そそっかしいところあるんだなぁ)クス
2 :
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2016/12/11(日) 00:05:42.05 ID:kcsiZYqo
【星空家】
凛「ゲームでもして待ってるにゃ」
花陽「私、お茶いれてくるよ」
凛「お構いなくー」
花陽「ふふふ…それってお客さんの台詞だよね?」
凛「あれー?足りると思ったのにー><」
花陽「どうしたの凛ちゃん?」
凛「ポイントが100足りなくて、高橋光成の覚醒MAXにできないにゃ」
花陽「そうなんだ…じゃあ1試合やろうよ」
カーン
凛「あー!?」ガクッ
『失投を逃しませんでした!逆転の3ランホームラン!』
花陽「やっぱりピッチャー交代したほうが良かったんじゃないかなぁ?」
凛「まだ100球しか投げてないのにー」
花陽「まあ、ルーキーだし…」
凛ママ「ただいまー」
花陽ママ「お邪魔します♪」
凛ママ「ケーキの到着よ!頭が高ーい!」
りんぱな「ははぁーっ!」
花陽ママ「母だけに?」
凛「ちょっと寒くないかにゃー?」
花陽(クリスマスって美味しい物がいっぱいだから大好き♪…えへへ)
花陽ママ「あらー?強力粉が足りないわ…」
凛ママ「あ、この間使ったんだった…」
花陽「どれくらい足りないの?」
花陽ママ「ちょうど、あと100gね。家に帰ればあるけど…」
凛ママ「まあ料理はほかにもいろいろあるし…とりあえず食べましょ♪」
ママりんぱな「メリークリスマース♪」
3 :
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2016/12/11(日) 00:10:30.92 ID:kcsiZYqo
【今年・初詣】
花陽(私は自信あるけど…凛ちゃんと二人で100%合格できるように、お賽銭は百円にしようかな)
花陽「あ、あれぇ?…百円玉が全然ない…」
凛「どうしたのー?」
花陽「凛ちゃん、百円玉ある?」
凛「百円?ちょっと待っててー」
凛「10円…五円…50円…なかったにゃ」
花陽「そっかぁ…」
凛「50円玉じゃダメなのー?」
花陽「あ…いいかも。二人で100だもんね。50円玉ならあるし…」
凛「凛もあったよ♪」
チャリン カランカラン
花陽(凛ちゃんと一緒に…)
凛(おいしいラーメンが食べたいにゃ♪)
【二月】
凛ママ「福は内!」パラパラ
凛「お庭は外ー!」パラパラ
花陽「えーと…歳の数だけ食べるんだっけ」
花陽ママ「そうね。今年は2016粒♪」
花陽「に、にせん!?」
凛ママ「いや、その年じゃないわよ…」
凛「そんなに入ってないにゃ」
花陽「私と凛ちゃんは15ずつだね」
花陽ママ「私たちは…あら、足りないわー」
花陽「撒きすぎちゃったね…(100粒も残ってなかったみたい)」
凛ママ「これでいいのよ。気持ちはいつまでも若く!」
凛「サバ読んだらいけないにゃー」
凛ママ「凛?サバが食べたいの?」ニコ
凛「い、いらないよー!><」
花陽ママ「うふふ。サバ寿司じゃなくて、恵方巻を食べましょ♪」
4 :
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2016/12/11(日) 00:12:26.27 ID:kcsiZYqo
【三月】
凛「どうしよー!?><」
花陽「どうしたの凛ちゃん?」
凛「ラッピングとか、ちゃんとしたら結構お金かかるんだよねー」
花陽「足りないの?」
凛「あと100円あれば…」
花陽「百円ね…あれ、(また)百円玉ないや」
花陽「じゃあ、はい。五百円」
凛「えー!?でも悪いよ…」
花陽「私の分もあるんでしょ?」
凛「もちろんにゃ」
花陽「じゃあ使ってほしいな♪」
凛「かよちん…ありがとー!かよちんの分は一番頑張るからね!」
花陽「凛ちゃんが作るの?」
凛「うん。お母さんも手伝ってくれるから大丈夫にゃ!」
花陽(一緒に作るのもいいけど、先に知ってたらつまんないからって…バレンタインとホワイトデーのお菓子は毎年別々に作ることにしてるんだ)
花陽(凛ちゃんは女の子にモテるから、結構もらったみたい…でも私が一番なんて嬉しいな。エヘヘ♪)
【四月】
凛「かよちん!遅刻しちゃうよー?」
花陽「も、もうちょっとだけ…」
\♪キャナイドゥーアイテーキベービ/
花陽(A-RISE…やっぱりいいなぁ♪)キラキラ
ドタバタ
凛「あと100メートル、全力で走れば間に合うよー!」
花陽「…む、無理…」ゼーハー
キーンコーンカーン…
5 :
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2016/12/11(日) 00:15:50.99 ID:kcsiZYqo
教師「二人そろって遅刻?…放課後、グラウンド100周ね」
花陽「ひゃ、百!?」
凛「凛はともかく、かよちんが死んじゃうよー><」
教師「冗談よ。でも二度目は大目に見ないからね?」
花陽「はい…」
凛「はーい…」
花陽「百字以上の反省文を提出だって…」
凛「それくらいなら簡単だよねー♪」カキカキ
凛「かよちんはUTX高校のスクールアイドルA-RISEが大好きです。A-RISEは全国のスクールアイドルで一番人気があるんだって。今朝も秋葉原までA-RISEを見に行って遅刻しました。凛は遅刻しちゃうよって言ったのに、かよちんはA-RISEに夢中で…」
花陽「り、凛ちゃぁん…」
パラララ シュタタタ
絵里「希!占いなんてしてる場合じゃ…」
希「まあ、まあ…理事長に訊かれて何も答えられなかったんやし。これから何をすればいいか、ヒントになるかもしれないやん?」
絵里「でも占いなんかで…」
スッ… パタ
絵里「それは…金貨のカード?」
希「そう。小アルカナ、ペンタクルの10…逆位置や。意味は…損失」
絵里「廃校のこと?」
希「まあ、ウチらにとって目下最大の損失はそれやろな。二枚目のカードは…」スッ
パタ
希「大アルカナ、愚者のカード…これも逆位置」
絵里「0って書いてあるけど…」
希「うん。愚者は78枚のタロットカードの中で唯一、0のカードや。0は逆さにしても0やけど…」
絵里「…けど?」
希「愚者はあくまで人やから。人は地上で生活している以上、上下の違いには明確な意味があるん」
絵里「そうね…」
希「意味は…失敗、見落とし、消極的…といったところやな」
絵里「積極的に行動しなければ、廃校の運命は変えられないってことでしょ?」
希「そやね。…にしても、10と0か。まるで対極のようなカードやな」
絵里「損失に失敗って、ろくな結果じゃないわね」
希「まあね…でも、この組み合わせにも何か意味があるのかも」
6 :
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2016/12/11(日) 00:21:12.04 ID:kcsiZYqo
絵里「10と0ね…10の努力で結果は0なんてことにならなければいいけど」
希「ま、まあ占いはポジティブに考えないと。廃校の可能性を10から0に減らしていくくらいのつもりで…」
希(…損失の見落とし?…いや、消極的のほうが鍵になりそうな気もするなあ)
凛「もー。そんなに深く考えてもしょうがないよ。凛はもう終わったよー?」
希「…?」
花陽「ま、待って…もう少し…」
希(一年生がこんな時間まで…何してるんやろ?)
凛「先に提出してこよーっと」
ガラッ タタタ…
花陽「り、凛ちゃん…あ」
希「こんにちは」
花陽「は、はい。こんにちは(先輩…三年生だ)」
希「作文?」
花陽「は、はい…あんまりポジティブな作文じゃないですけど…」
希「そうなん?何か重いテーマ?」
花陽「い、いえ…ただの遅刻の反省文です…」
希「ふーん…(真面目そうな子やけど)なんで遅刻しちゃったん?」
花陽「そ、それは…ちょっとUTXに…」モジモジ
希「ああ、UTXに友達がいるん?」
花陽「そ、そうじゃなくて…」
希(損失…遅刻…時は金なり?…いや、失敗のほうかな?)
希「邪魔しちゃってごめんね。でも反省ってポジティブにも考えられるんやないかな?」
花陽「え…?」
希「わざと遅刻したわけやないやろ?…だったら同じことをしても、こんなふうにやれば遅刻しなくて済む!ってアイデアを考えて書くとかできるやん?」
花陽「な、なるほど…」
希「ふふふ…まあ、頑張って」
花陽「あ、ありがとうございました…先輩」
希「ウチは東條希。生徒会の副会長やってるん。何か困ったことがあったら気軽に相談してよ♪」
花陽「は、はい。私は、小泉…花陽っていいます」
希(小泉さんか…何となくやけど、この子は占いの結果に関係ありそうな…廃校の運命を変える鍵になりそうな気がする)
7 :
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2016/12/11(日) 00:23:50.23 ID:kcsiZYqo
【後日・一年教室】
穂乃果「スクールアイドルの高坂穂乃果です!」
花陽(音ノ木坂にもスクールアイドルが…可愛いし、応援しよう♪)ワクワク
「…」
【放課後】
穂乃果「す、すごい!?」
ことり「たった一日で、こんなに入ってるなんて…」
海未「とにかく確認してみましょう」
ドサ
穂乃果「えーと…なにこれ?」
ことり「百円玉…だね」
海未「おそらく硬貨の上に紙を置いて、鉛筆でこするようにして文字を写し出したのでしょうね…」
穂乃果「これが私たちのグループ名?」
ことり「まあ、ほかのも見てみようよ」
海未「こっちも同じです…」
穂乃果「百円玉ばっかりじゃん!いったい誰のイタズラ!?」
海未「ですが、全部同じとは限りませんし…面倒でも一枚ずつ確認するしかないでしょうね」
ことり「アハハ…こんなにあると、だいぶ時間かかりそうだね」
穂乃果「もー!練習もしなくちゃいけないのに!」プンプン
海未(コピーではないようですし、こんないたずらを大勢でやるとも考えにくい…相当な手間をかけてまで、誰が何のために…?)
ことり「これで百枚…」ハァ
穂乃果「あったよー!一枚!」
海未「やっと、まともなグループ名が…」
穂乃果「今日から私たちはμ'sだ♪」
8 :
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2016/12/11(日) 00:27:15.35 ID:kcsiZYqo
【後日・秋葉原】
海未「レアなの出たみたいです…」
穂乃果「海未ちゃん!」
ことり「私もやってみようかな♪」
穂乃果「ことりちゃんまで!?」
ことり「…あれっ、百円玉が全然ない」
穂乃果「紙に写したのなら嫌になるほど見たけどね…あ、私もないや」
海未「私も今使ったのが最後ですね…」
穂乃果「って、そんなことしてる場合じゃないよ!ほら、早く配っちゃおう」
海未「ですが、これは多すぎます…百枚はありますよ」
ことり「三人で分ければ33枚くらいになるけど…」
【音ノ木坂】
海未「…変ですね」
穂乃果「そんなことないよ。その調子で頑張って!」
海未「いえ、そうではなく…配っているのに全然減っていない気がするんです」
ことり「そういえば…」
穂乃果「えー?…いや、残り三十枚ちょっとだよ?」
海未「私もそれくらいです」
ことり「私も…」
穂乃果「じゃあ、合わせて100枚くらいだよね?」
ことほのうみ「…」
穂乃果「全然減ってないよ!?」
海未「だからそう言ってるじゃないですか…」
ことり「でも、そんなことって…確かにたくさん配ったはずなのに…」
花陽「あ、あの」
穂乃果「あ…小泉さん」
花陽「ライブ…見に行きます…」
海未「では一枚二枚と言わず、これを全部」
穂乃果「海未ちゃん!」
9 :
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2016/12/11(日) 00:33:10.74 ID:kcsiZYqo
花陽「えーと…ぴったり百枚」
穂乃果「ホントに三人合わせて百枚あったんだ…」
ことり「きりがないし、残りは明日にしようよ」
【五月・新入生歓迎会当日】
希「ウチは帰ろうかな」
絵里「…」
花陽「あ、あの…副会長さん」
希「小泉さん。なに?」
花陽「ら、ライブ…よかったら、一緒に…」
希「μ'sのライブ?」
花陽「は、はい。一緒に…見に行きませんか…?」
希「デートのお誘い?」
花陽「えっ!?…で、デート…?」
希「あれ、違った?」
花陽「い、いえっ…違いません!」
希「ふふふ。小泉さんが誘ってくれるなんて嬉しいなあ。じゃあ行こうかな♪」
花陽(よかったぁ…副会長さんって優しくて素敵だよね♪)ドキドキ
【講堂】
ガヤガヤ
穂乃果「わあ、結構埋まったね♪」
ことり「百人くらいは居るかなぁ?」
海未「…」ガクブル
穂乃果「大丈夫だよ海未ちゃん。みんな音ノ木坂の生徒なんだから…みんな私たちの味方だよ♪」ギュ
海未「穂乃果…そ、そうですね…」
ことり(でも…いきなりこんなに上手くいくものなのかなぁ?)
\アイセー♪/
10 :
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2016/12/11(日) 00:34:47.73 ID:kcsiZYqo
絵里「どうするつもり?」
穂乃果「あ、あれぇ?…もうみんな帰っちゃったのかなぁ?」
花陽「イエニカエッチャッタノ!?」
絵里「何を言ってるの?」
ことり「お客さん、百人くらい来てたのに…」
海未「残っているのは…四人?」
希「いや、ウチらが来たときからそれくらいやったけど…」
凛「凛を含めて三人だったかなー?」
海未「どういうことでしょう…?」
ことり「三人で同じ幻でも見てた…とか?」
穂乃果「そ、そんなぁ…」ガクッ
希(見落とし?…いや、見落とすっていう規模やないし。三、四人が百人に見えた…なんて、おかしな話やな?)
【後日・穂乃果の部屋】
穂乃果「穂むらまんじゅう。おいしいよ♪」
海未「ちなみに、一個でちょうど100kcalです」
花陽「へー」
ことり「誰が撮ってくれたのかしら?」
海未「再生数は…私たちでちょうど100ですか」
穂乃果「少なっ!?」
ことり「アハハ…まあ、誰も見てないよりはマシだと思うけど…」
穂乃果(あのとき…講堂に居たはずの100人が、動画を見て私たちを知ってくれるのかなぁ?)
【翌日・一年教室】
花陽「いったい何d」
クスクス
教師「小泉さん。今のところ、繰り返し読んでください。あと百回」
花陽「えぇ!?」
凛「授業が終わっちゃうにゃ…」
教師「冗談です」
真姫「イミワカンナイ…」
11 :
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2016/12/11(日) 00:37:01.96 ID:kcsiZYqo
【中庭】
真姫「あーあーあーあーあー♪」
花陽「あーあーあーあーあー…」
真姫「もっと大きな声で。続けて百回!」
花陽「な、なんで百回なのぉ!?」
【夕方・屋上】
花陽「アイドルへの想いは誰にも負けないつもりです!」
海未「まだまだメンバーは募集中ですよ♪」
穂乃果「百人くらいは欲しいよね!」
花陽「そんなに!?」
凛「友達百人できるかな♪ってやつですねー?」
穂乃果「そうそう♪」
花陽「百人でおにぎりを食べる歌…ですよね?」
海未「そうですね…でも、あの歌詞…妙なところがあると言われていますよね」
ことり「ああ、一人足りないっていう話?」
穂乃果「え?百人もいるのに足りないの?」
凛「凛知ってるよ。もし友達が百人できたら、自分を含めて101人になるはずだよねー?」
海未「ええ。ですがおにぎりを食べるくだりは“百人で”と歌っています」
穂乃果「ひゃーくにーんで食べたいな♪…ホントだ!?」
花陽「ひ、一人足りない…イエニカエッチャッタノ!?」
真姫「…いや、騙されないわよ。あれはあくまで歌の主人公が“友達百人できたらいいな”って想像してる歌でしょ」
海未「そうですね。百人でおにぎりを食べました、とは言っていません」
穂乃果「そっかぁ…じゃあ、言うほど変じゃないのかな」
花陽「そ、そうですよね…(よかった。怖い話とかじゃなくて…)」ホッ
真姫(…ま、私たち一年生は百人どころか、1クラスしか無いけど)
12 :
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2016/12/11(日) 00:39:45.95 ID:kcsiZYqo
【六月】
穂乃果「どしゃ降りー」
ことり「降水確率100%って言ってたもんね」
真姫「本当にそんなこと言ってたの?」
海未「聞いたことのない数字ですね…」
凛「100%じゃどうしようもないにゃ」
花陽「そうだね…今日はもう帰ったほうがいいかも…」
希「…どう思う?」
にこ「知らないわよ。私には関係ないし」
希(四月からいろいろおかしなことが起こるんだよね…そのほとんどに共通するのが“100”や)
【某ファーストフード店】
穂乃果「買って返してよ!…ほら、このクーポンで今ならポテトのLサイズが100円!」
にこ「お買い得ね。…けど、甘いわ」
凛「ポテトは塩味だよー?」
にこ「バカね。そうじゃなくて…よく見なさい。ここに先着100食限定って書いてあるでしょ」
穂乃果「え!?…ホントだ」
花陽「100ってことは、この時間じゃ…たぶん」
ことり「…もう終わっちゃったって」
穂乃果「そんなぁ!?…って、関係ないよ!割引にならなくたって買って返してもら…う?」
真姫「…居ないわね」
穂乃果「逃げられた!?」
にこ(アホね。…フン)タタタ
【翌日・生徒会室】
穂乃果「…アイドル研究部?」
絵里「ええ。それ以外にも…すでにアイドルに関する部活動が全部で百も存在します」
穂乃果「ひゃく!?」
希「エリち」
絵里「まあ、それは冗談だけど…アイドル研究部があるのは本当よ」
海未(…生徒会長は何故そんな冗談を…?)
13 :
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2016/12/11(日) 00:46:38.77 ID:kcsiZYqo
【アイドル研究部・部室】
にこ「ミナリンスキーさんのサインよ。百円で落札したの」
ことり「アハハ…百円…」ガクッ
海未「ことり?…どうかしましたか?」
穂乃果「ことりちゃんも欲しかったの?なんとかスキーさんのサイン」
にこ「ミナリンスキー」
ことり「い、いや別に…」
ザァァァ…
希「一人辞め二人辞め…百人いた部員も、今はにこっち一人だけ」
穂乃果「そんなに居たんですか!?」
希「いや、そんなわけないやん?」
ことほのうみ「…」
【翌日・屋上】
にこ「全然ダメ。あと百回!」
花陽「真姫ちゃんみたいなこと言ってる…」
【後日】
海未「はぁ…緊張しました」
穂乃果「海未ちゃんも100点♪」
ことり「これでみんな100点だね…こんなに続くなんて…」
にこ「この採点機能、壊れてんじゃないの!?」
【また後日】
花陽「ラブライブです!」
海未「そんな順位では…」カチ
ことり「今ちょうど100位だね」
穂乃果「全国で100位なら…20位以内も狙えるかも!?」
真姫「でも、そう簡単に上がるものなの?…ここより上は実力のあるグループばかりなんじゃない?」
花陽「確かに上位はなかなか大きな変動は無いよね…ずっとA-RISEが1位だし」
凛「毎年同じ高校が甲子園に出てる地域みたいな感じかにゃ」
14 :
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2016/12/11(日) 00:48:49.27 ID:kcsiZYqo
【後日】
穂乃果「100点だった…」ガクッ
凛「凛も…」ゲンナリ
にこ「私もよ…」シクシク
希「100点なんてすごいやん!?…なんでみんな落ち込んでるん?」
真姫「三人とも全教科の合計が100点だったのよ」
ことり「すごい偶然ではあるけど…」
海未「あんなに勉強したのに…なぜこんなことに…」
花陽「じゃあ私たち、ラブライブには…」
七人「…」
希「ま、まあラブライブに出られないのは残念やけど…まだ廃校を阻止するって目標があるやん?」
穂乃果「そ、そうだよね!どのみち100位のままじゃラブライブには出られないんだから…とにかく勉強より練習だよっ!ライブとかやろうよ!」
【七月】
\ダイスキ♪/
花陽(生徒会長さんと副会長さんが加わって九人になったμ's…オープンキャンパスのライブも成功して何とか廃校は回避した…けど)
凛「あれから全然順位が上がってないにゃ」
海未「相変わらず100位のままですね…」
穂乃果「おかしいなぁ…ライブも好評だったし、絵里先輩がいるのに…どうして人気が出ないのかな?」
絵里「私のことはともかく…効果的な練習もできてるし、みんな実力は上がってるはずだけど…」
真姫「でも票が全然入ってないわけじゃないでしょ。順位も下がってないんだから」
にこ「仕方ないわねー。ここはひとつ、この宇宙ナンバーワンアイドル!にこにーの実力で…」
希「花陽ちゃん。…ちょっと」
花陽「はい?」
パタン
希「おかしいと思わない?」
花陽「順位のことですか?」
希「それもあるけど、ほかにもいろいろ…にこっち達のテストとか、五月の講堂でのライブとか…」
花陽「そうですよね…あまりにも変なことが起こりすぎてるような…」
15 :
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2016/12/11(日) 00:51:33.57 ID:kcsiZYqo
希「ウチが知るかぎり、最初の異変はコレやな」カサ
花陽「それは…?」
希「これと同じ物が全部で99枚、グループ名募集箱に入ってたん」
花陽「穂乃果先輩たちがグループ名を募集したときの…?」
希「そう。一枚だけがウチの書いたμ'sで、ほかの99枚は誰が入れたかわからない謎の紙」
花陽「百円玉の…」
希「うん。百円玉の上に紙を置いて鉛筆でこすったような感じやね」
花陽「百円玉が99枚で…9900円?」
希「あと100円で一万円やね。なんで99枚しか無かったんやろな?」
花陽「どこかで一枚なくしたか、数え間違えたか…」
『予約してたケーキの値段、間違えてたみたいで…100円足りないんだって』
花陽「…あ」
希「それに、これ…ものすごくスピリチュアルな何かを感じるん。…ただ、力自体はそこまで…花陽ちゃん?」
花陽(クリスマスに凛ちゃんのお母さんが…ううん。それだけじゃない…もっと前のこと、何か忘れてるような…?)
花陽「百円…」
希「んー?」
チャリン
『百円…落としちゃった』
花陽「足りない一枚って…あのとき落とした…」ゾク
希「花陽ちゃん?…どうしたん?」
花陽「思い出したんです…どうして一枚足りないのか…どこで落としたのか」
希「落とした?」キョトン
16 :
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2016/12/11(日) 00:57:37.32 ID:kcsiZYqo
【都内某所・自動販売機】
花陽(季節で商品が入れ替わって、今はホットココアはないけど…)
希「ここで落としたん?」
花陽「はい…あっ!?」
希「…お」
花陽「百円、落ちてる…」ヒヤアセ
希「誰かが拾ってくれたんかな?」
花陽「そんなこと…だって、もうあれから半年以上…」
希「平成何年発行とか、覚えてない?」
花陽(とりあえず拾ってみよう…)カチャ
「おもしろーい♪」コシコシ
花陽「!?」
「ほら。100円が、いっぱいふえたよー♪」キャッキャ
花陽(小学生くらいの、メガネかけた女の子が紙と鉛筆で百円玉を…あれって、小さい頃の私!?)
『かよちんは、アイドルになりたいんだよねー♪』
はなよ「あきらめちゃうの…?」
花陽「え」
はなよ「なにもしないで…かんたんに、あきらめるんだ?」
花陽「そ、そんなこと…ないよ」
希「花陽ちゃん!」
花陽「!」ハッ
希「な、何が見えたん?…誰に向かって話してたの…?」
花陽(いない…私にだけ見えてた…?)
『あきらめちゃうの…?』
花陽(たぶん間違いない…これは、あのとき私が落とした…諦めて捨てた百円玉…)
花陽「そっか…だから…」
希「え…?」
花陽(いつも100っていう数字がつきまとって…私に思い出させようとしてたのかな。諦めたことを…諦めちゃいけないことを)
17 :
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2016/12/11(日) 01:04:03.76 ID:kcsiZYqo
希「…そか」
花陽「アハハ…やっぱり信じられませんよね…こんな話」
希「ううん。そんなことないよ…ここに百円落ちてたこと、ただの偶然とは思えないし。投票箱も、講堂に百人来たって言ってたときも…なんか不思議な力を感じてた」
花陽「あれは、きっと私だったんです…百円を諦めた小さな後悔の気持ちが…」
希「そやね。アイドルになりたかった小さい頃の花陽ちゃんが、どこかで諦めてた気持ちと重なったのかも」
花陽「廃校を防ぐのも、アイドルになることも…小さなことでも諦めない気持ちをなくしちゃったら、そんな大きな目標は達成できないし…」
希「うん。自分に今できる精一杯の積み重ねが大事なのかもしれないね」
花陽(諦めないで…勇気を出して、一歩を踏み出すんだ。もう一度…)
『アイドルへの想いは誰にも負けないつもりです!』
花陽「あの…副会長…いえ、希先輩!」
希「なに?」
花陽「よかったら私と…そ、その…」
【夏合宿】
凛「凛は、かよちんのとーなり♪」
希「じゃあ、反対側はウチやな♪」
花陽「うん。…えへへ」
【七月】※回想
希「久しぶりにデートのお誘い?」
花陽「は、はい。…でも」
希「もちろんいいよ。いつ、どこへ行くん?」
花陽「えっと…一回だけじゃなくて、これから…ずっと私とデートしてほしいっていうか…つ、つまり…」
希「…花陽ちゃん」
花陽「あ…だ、ダメですよね…私なんかじゃ…ハハ…今のは忘れてください…」
希「あれ?諦めたらいけないんやなかったっけ?」クス
18 :
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2016/12/11(日) 01:06:36.27 ID:kcsiZYqo
【秋】
花陽「わあ、すっごくキレイ!」
希「そやね。春のお花見もいいけど、紅葉を見ながらのお弁当も最高やろな♪」
花陽「食欲の秋だもんね!って、ちがうよぉ…」グー
花陽「あ…///」カァァ
希「ふふふ。まあ、腹が減っては何とやら…お弁当にも愛情がたっぷり詰まってるやろ?」
花陽「そうだよね…エヘヘ♪」
希(100位で足踏みしてたμ'sの順位も、だいぶ上がってきたし…)
花陽(μ'sは結局、第一回ラブライブには出られなかったけど…第二回大会が始まった。今回は私たちもエントリーして優勝をめざす…だから、これは束の間の休息だけど)
【十二月】
凛「真姫ちゃんは凄いにゃ…毎日凛たちと同じ練習してるのに、どうしてテストで100点なんて取れるのー?」
真姫「花陽だって本気出せば取れるでしょ。…最近、誰かさんに夢中で成績落ちてるんじゃない?」
花陽「あ、アハハ…これ以上落とさないように気をつけます…」
希「花陽ちゃん」フリフリ
花陽「希ちゃん!」
希「テストも終わったし、たまには遊びに行こ」
花陽「うん。…そうだ、今年のイヴは…」
凛「…」
凛(うらやましいにゃ…凛だって、本気出せば彼女くらい…)
凛(うぅ…心が寒いよ…コーンスープでも買おう…)チャリン
凛「あ…(百円、落っことしちゃったにゃ)」
凛(販売機の下に入っちゃったけど…まあいいや。めんどくさいし)
「…」
おわり
19 :
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2016/12/11(日) 01:20:15.48 ID:VHwZUBE2
おもしろい乙
100円の呪いってわけじゃなかったのね
20 :
名無しで叶える物語(王都図書館司書室)@無断転載は禁止
2016/12/11(日) 01:26:49.76 ID:kcsiZYqo