補遺:
SCPとエリーチカのお話をします
第十回までします。
全てのSCiPの設定は、話の都合上ある程度の改変が施されています。
加えて、エリーチカも普段以上のポンコツになっています。
宜しくお願いします。
「とぉ〜ちゃんもじぃ〜ちゃんもばぁ〜ちゃんも〜♪」パッチンパッチン
絵里「たかぁ〜し君も、まん〜どりるも♪」
絵里「ぶ〜ときゃ〜んぷにい〜くのなら〜♪」
絵里「豆食えっ!まm──」
「え、絵里ちゃん。」
絵里「!」
花陽「〜っ」
絵里「あ、あら、どうしたの?」
花陽「……いま、少しいいかな?」
絵里「えぇ、大丈夫よ。」
花陽「じ、じつはお話があって」
絵里「はなし?」
花陽「うん。それでね?部室にみんないるから、絵里ちゃんにも来て欲しいの」
絵里「え?みんないるの?」
花陽「うん、ちょっと相談があって……」
絵里「LINEしてくれれば良かったのに」
花陽「あの……LINEはしたんだけど、絵里ちゃん気付いて無かったみたいで……」
絵里「えっ」スッ
花陽「……」
絵里「……ずぅーっとポッケに入ってたコレ、スマホじゃなくて板チョコだったわ。」
花陽「あ、あはは」
絵里「……」ピリピリ
絵里「よし、行きましょうか」パクッ
花陽「え?う、うん。」
花陽(食べちゃった……)
絵里「で、何かあったの?」スタスタ
花陽「えぇっと……」スタスタ
絵里「もしかして、凛とケンカでもした?」
花陽「え?うぅん!そんな事ないよ!」
絵里「あら、それじゃあおにぎりでも落っことしたの?」
花陽「……そんな事したら、今ここにいません」
絵里「そ、そう。」
絵里「あっ!ぶ、部室着いたわよ?」スッ
ガチャ
「!」
穂乃果「絵里ちゃん!花陽ちゃん!」
絵里「お疲れ。」
花陽「お、お疲れさま。」
にこ「やーっと来たわね。」
絵里「みんなもお疲れ」
ことり「おつかれ〜」
海未「お疲れ様です」
凛「かよちん遅いにゃー!」
花陽「えへへ、ごめんね?」
希「お疲れ〜」
真姫「……」クルクルッ
絵里「──よいしょっと、」ガタッ
花陽「……」ガタッ
穂乃果「練習ない日に集まるのたのしいねぇー!」ピョンピョン
海未「穂乃果。落ち着きなさい」
ことり「うさぎみたいだねぇ〜♪」
穂乃果「えへへ〜♪」ピョン
にこ「埃がたつからやめなさいっての!」
真姫「……で?話ってなによ。」
花陽「う、うん。」
希「花陽ちゃんがこんな風に呼び出すなんて、なんだか珍しいやん?」
凛「なんかあったの?」
花陽「えっとね?こんどのお休み、あるでしょ?」
にこ「あー、四日間あるわね。シルバーウィーク」
花陽「うん。でね?その連休で……」
花陽「一緒に、新潟に来てくれませんか?」
にこ「……は?」
絵里「新潟!?」
花陽「は、はい。」
花陽「μ'sの事を知ってくれた農家さんが、キャンペーンガールとして是非、私たちに来て欲しいって」
絵里「……えっと、それはいつなの?」
花陽「れ、連休の初日に、だって」
にこ「へぇ、凄いじゃない。」
希「ウチらも有名になったもんやなぁ」
真姫「いいんじゃないの。行ってくれば?」
花陽「えっ!?ま、真姫ちゃんは来てくれないの!?」
真姫「私はその日、パパの病院に行かなくちゃならないの。……申し訳ないけど、」
花陽「そ、そっかぁ……」
真姫「そんな顔しないでよ。私も出来れば行きたかったし、本当に悪いとは思ってるの」
花陽「う、ううん。花陽こそ、忙しいのに無理言っちゃってごめんね?」
絵里「……念のために聞いておくわ。当日、他に来れない人って、いる?」
「は、は〜い」スッ
絵里「ぇえっ!!?」
ことり「あ、あはは……」
花陽「こ、ことりちゃんもなのっ!?」
ことり「うぅっ、ごめんねぇ〜。その日はことり、アルバイトが入っててぇ……」
穂乃果「えっ!?ことりちゃん辞めたんじゃなかったの!?」
ことり「ぅ、あの……頼み込まれちゃって、つい〜……」
海未「ことり。少しは断ると言う事を覚えなさい、後々困るのは貴方なのですよ?」
ことり「は、はいぃ……」シュン
絵里「えっと、後はいないわよね?」
にこ「……」スッ
希「ごめんなぁ」スッ
絵里「はぁ!?う、嘘でしょ!?なんでよっ!?」
にこ「希がどうしてもその日、大学のオープンキャンパスに行きたいって。だからその付き添いよ」
絵里「ど、どこの大学よ!?」
希「青山〜♪」
にこ「ま、そう言う事なのよ。(ミッション系大学……絶対に行かなくちゃ)」
希「あはは、ごめんなぁ?えりち」
絵里「そ、そんなぁ……」
花陽「はうぅ……」
「ねぇねぇ」チョンチョン
花陽「え?」
凛「じ、実はね?凛もぉ……その……」
花陽「ぇ……ぇええっ!!?り、凛ちゃんもぉ!!?」
絵里「はぁ!!?」
凛「こ、声大っきいにゃ!!」
花陽「うっ、ご、ごめん……」
絵里「ちょっと!凛はどうして来れないの!?」
凛「そ、それはですねぇ……」
絵里「っ」ジィ
凛「…………新しく出来たラーメン屋さんの無料券が、その日まd」
絵里「却下。」
凛「きゃ、却下ぁ!?」
絵里「後はみんな大丈夫ね。それじゃあ当日の集合時間と──」
「ごめんっ!!!」
絵里「……え?」
穂乃果「ッッッ」
絵里「穂乃果?」
穂乃果「あ、あのね?」
凛「〜ッ」
穂乃果「じ、実はぁ……」
絵里「実は、なに?」ジロッ
穂乃果「〜っ」
穂乃果「ほ、穂乃果も……そのラーメン屋さんに行くんです……」
凛「そ、そうなんです……にゃ、」
絵里「……」
ガタッ
穂乃果・凛『!!?』ビクッ
「……貴方たち、」
絵里「そんっっっっなに!!そのラーメンとやらが大事なのっ!?あんな汁浸しの黄色くて細長い物体がっ!!?」
穂乃果「あ、あはは……」
凛「っ」ムッ
絵里「その上臭くって脂ぎってて!!オマケに床までヌルヌルする不衛生で劣悪な環境っ!!」
絵里「あんな物の為に!貴方たちはμ'sの予定を蹴っぽるってゆーのっ!!?」
凛「……マ-ォ」
絵里「怒るならちゃんと怒りなさいっ!!!すぐ猫の真似するのは貴方の悪い癖よっ!!ホントは犬っぽいクセn──」
凛「フシャーッ!!!」バッ
絵里「なによっ!!やる気!!?」ザッ
「絵里ちゃんだって黄色いにゃぁああああああっ!!!」
「うるさぁああああああああああいっっっ!!!!!」
o
\ ☆
| o
(⌒ ⌒ヽ / ☆
\ (´⌒ ⌒ ⌒ヾ /
('⌒ ; ⌒ ::⌒ )
(´ ) ::: )/
☆─ (´⌒;: ::⌒`) :; )
にこ「あーあー、始まったわ」
ことり「はわわわっ、と、止めなきゃっ」
希「まぁまぁ、いつもの事やん?マキロンと絆創膏だけ用意しとくねぇ〜」
花陽「り、凛ちゃ〜ん!絵里ちゃ〜ん!」
「あの、」トントンッ
花陽「へ?」
海未「……」
花陽「う、海未ちゃん?どうしたの?」
海未「……実は私も、その日は予定が入っていまして、」
花陽「はぇえええ!!?う、海未ちゃんもなのぉ!?」
海未「す、すみません。その日はちょうど、弓道部の合同練習があるんです」
穂乃果「あー、そんな事言ってたねぇ」
花陽「じゃ、じゃあ……もしかして……」
ことり「そ、そうだねぇ」
にこ「ま、頑張んなさい」
凛「わぁーい!!凛の方が一回多く叩いたにゃー!」
絵里「待ちなさいっ!!あんなフニャフニャの猫パンチ、認められないわっ!!」
希「君らそろそろやめとき〜?ドエラいの行くで〜?」ワキワキッ
絵里・凛『!!?』
花陽「ハァ……」
穂乃果「えっと、ど、土曜日頑張ってね?」
花陽「……はい。」
………………
………
…
「──で、結局こうなるのね。」
絵里「まったく、μ'sへの依頼だって言うのに……みんな弛んでるわっ」ブツブツ
「え、絵里ちゃん?」
絵里「それに、最近の凛は私へのリスペクトが足りてない気がするわっ」ブツブツ
「あ、あのぅ」トントン
絵里「へ?」
花陽「収録終わったよ?」
<オツカレサマ-!
絵里「えっ!?や、やだ私ったら!」
<イヤァ~ アリガトサマナァ~
絵里「あ、いえいえ。此方こそお世話になりました」
<コレェ.スクネェンダケドヨォ
絵里「?」
<ウチデツクッタコメヨォ~、モッテッテケロ~
花陽「!!?!?」
絵里「こんなに沢山!?……ほ、本当にいいんですか?」
<キニスネデケラッシャイ!
絵里「……?」
<オモイガラヨォ.カ-トサノッケテッテケロ~
花陽「あ、ありがとうございます!」
<ハイヨ-キィツケテナァ-
<マダキテケロナ-!
絵里「そ、それでは、失礼します。今日は本当にありがとうございました」ガチャ
花陽「ありがとうございました〜♪」ペコッ
<ンダラナァ~
──ガラガラガラッ
絵里「……ふぅ。やっと終わったわね」
花陽「はわぁ〜♪こ、こんなにお米貰っちゃった〜♪」ガラガラッ
絵里「ホント、凄い量ね。当分ご飯には困らなそう」
花陽「あはぁ〜♡」ガラガラッ
絵里「……その、カートに乗ってる分って、もちろん送るのよね?」
花陽「いいえ!抱きしめて帰ります!」ギュッ
絵里「……」
>>26
ありがとうございます。
ぶつ切りとなってしまいますが
随時更新させて頂きます。 ギュウッ
花陽「い、痛い痛い!絵里ちゃん!?」
絵里「バカな事言ってないで、早く郵送しに行くわよ」
花陽「は、はぁ〜い……」
絵里「それにしても、あの人達訛りが強すぎて、何を言ってるのか半分も理解出来なかったわ」
花陽「それはしょうがないよ。それに、絵里ちゃんだって偶によく分かんない事言ってるよ?」
絵里「そ、そんなわけないでしょ!?私はいつだって理路整然と、明朗会計に喋っているもの!」
花陽(……また言ってる。)クスッ
絵里「その顔っ!」バッ
花陽「ふにぃ!?」ムニュッ
絵里「さぁ!早く行くわよ!」
花陽「あの、絵里ちゃん。」
絵里「なに?」
花陽「せ、せっかく新潟に来たんだし、少しだけ……その……」
絵里「?」
花陽「え、えっとね?天気も良いし、お散歩とか、どうかなって……」
絵里「……この大荷物を引きずって?」
花陽「も、もちろん送った後だよ!」
絵里「……」
花陽「っ」
絵里「……そう言えば、」
花陽「は、はいっ」
絵里「お昼、まだだったわね。」
花陽「!」
絵里「近くの商店にお弁当も売ってたし、それ買ってピクニックでもしましょっか?」
花陽「う、うん!……ありがとう、絵里ちゃん。」
絵里「ううん。こんなにいい景色なんだもの、その気持ちも充分わかるわ」
花陽「えへへ。それじゃあ、コレ送りに行こっか?」
絵里「そうね。早く郵便局に行きましょう」
───
─
絵里「そ、送料5000円を超えるだなんて……っ」
花陽「ごめんなさい!こんなに高いと思わなくてっ!」
絵里「ハァ……、まぁいいわ。お昼も買ったし、食べられそうな場所を探しましょう」
花陽「う、うん。敷く物もないから、近くに東屋があれば良いんだけどね」
絵里「え?」
花陽「?」
絵里「……外で食べるんじゃないの?」
花陽「へ?そ、そうだよ?」
絵里「じゃあ、どうしてお店に行くの?……まさか、まだ食べ物買うつもり?」
花陽「絵里ちゃん?何言ってるの?」
絵里「え?だって、貴方さっき"東屋さん"があったらなぁって」
花陽「……プッ」
絵里「へ?」
花陽「あっはっはっは!え、絵里ちゃん。ちょっと待ってね?」スッ
絵里「な、なに?」
花陽「……」スッスッ
花陽「はい。コレが東屋だよ」パッ
絵里「?」
絵里「──ッ!」
花陽「ね?」
絵里「は、早く探すわよっ///」
花陽「あっ、」
花陽「ねぇねぇ!絵里ちゃん!」
絵里「え?」
絵里「…………わぁ、」
絵里「凄いわね。これが田園風k──」
花陽「い、一面田んぼっ!!一面田んぼだよっ!?絵里ちゃん!!!」
絵里「え、えぇ。そうねぇ」
花陽「すごいっ!すっごぉーい!!!
絵里「……あの、花陽?少し落ち着いt」
花陽「ハラショーーーーッッッ!!!!!」
絵里「!?」
タッタッタッタッ 絵里「は、花陽!?」
<オコメノパレ-ドダヨォ---ッ!!!
絵里「……」
絵里「……もう、あんな遠くまで行っちゃって、よっぽど嬉しいのねぇ」
絵里「それにしても、凄く良いところだわ」
絵里「景色は良いし、空気も澄んでいて、とても穏やかな気持ちになれるわね」
絵里「私もお婆ちゃんになったら、こう言うところに住みたいかも。なんて、」クスッ
絵里「……少し歩こうかな。」
絵里「花陽ーっ!」
<ナ-ニ-?
絵里「ちょっとそこら辺を散歩して来るから、30分後に此処で落ち合いましょー!」
<ハ-イ!
絵里「──さてっと、」
絵里「先ずは、あの林の方に行ってみようかしら♪」
───
─
>>37
お久しぶりです。
今年中には完結させますので
お付き合い頂ければ幸いです。 絵里「〜♪」
絵里「!」
絵里「うわぁ、凄く綺麗な小川……」
絵里「ホントに綺麗。とっても澄んだ水ね」チャプ
絵里「……そしてこのロケーション、切り取って持って帰りたいくらいだわ」
絵里「あ、そうだ。」スッ
パシャ
絵里「みんなにも見てもらおーっと♪」
【LINE】
エリチカ8:みてみて
のんchねる:なんじゃらほい?
エリチカ8:
のんchねる:おー!
にこーる:良い感じじゃない
Dr.マキ:綺麗な川ね
ピヨどり:素敵だね〜♪ りんがべ:綺麗!
ほのクマ:いいなー!
エリチカ8:いいのよ?
ほのクマ:?
エリチカ8:ラーメンの画像あげても
ほのクマ:いじわるー!
りんがべ:ぽんこつー!
エリチカ8:うるさい!
ピヨどり:綺麗なところだね〜
エリチカ8:とっても良いところよ
エリチカ8:海未もそう思わない?
うみみ:せせらぐは 越後の秘境 いとおかし
ピヨどり:あらら
りんがべ:分かんない
エリチカ8:海未?
【うみみが退室しました。】
のんchねる:おやまー
【のんchねる】が【うみみ】を招待しました
ほのクマ:うみちゃーん!
りんがべ:かよちんは何してるの?
エリチカ8:田んぼの周りを走り回ってる
Dr.マキ:落ちてないでしょうね
にこーる:田舎の小学生だわ
絵里「あはは、ホントにそうよね」
絵里「それにしても、海未ったら俳句がマイブームなのかしら?」
絵里「……スゥー……はぁ〜。」
絵里「んーっ!景色も空気も最高ねぇ。体の中が綺麗になって行く気がする」
絵里「この柔らかい匂いが、フィトンチッドって言う物なのかしら?」
絵里「〜♪」
絵里「…………あら?」
フリフリ
絵里「んんんん?茂みの中から……何か、出てる?」
絵里「……」ジィ-
フリフリ
絵里「──ッ!!?」
絵里「う、うそ!?」
絵里「ヤダッ……なんで!?どうしてこんな所に!?」
フリフリ
絵里「可愛い〜っ!!なんでこんな茂みにワンちゃんがいるのぉ!?」
フリフリ
絵里「お、お尻と足としっぽしか見えないけど、確かこの犬種って……コーギーっぽい?」
フリフリ
絵里「あ〜んもう♡可愛いお尻♪」
絵里「うふふ。アナタ、なんでお尻だけ出してるの?ちゃんとお顔も見せて♪」
フリフリ
絵里「あはは、穴掘りに夢中になってるのねぇ」
絵里「……ねぇ、中にご馳走でもあるの?」サワ
……ググググググググ グ グ グ グッッ
絵里「!?」ビクッ
絵里「……えっ、なに!?何これ!?」
絵里「ま、周りの木が伸びて……っ!?草もっ!?え!!?ぇええっ!!?」
絵里「待って待ってっ!!どーすれば良いのコレェ!!?なんなのよぉおおっ!!?」
「うわぁああああああああぁぁぁぁ……」
───
─
すみません。
ここで一度切らせて頂きます
明日の夜にまた更新しますので、
お付き合い頂けたら嬉しいです。
>>40
今年中に完結、とはこのシリーズを、でしょうか? 楽しみ。
海未ちゃん、定期的に退出と招待を繰り返してそう。
>>52
茶碗について思い出しても再発してしまうオブジェクトの様なので、何処かで思い出してしまったのでしょうね
>>53
ありがとうございます。
>>54
紛らわしい書き方でしたね。
はい。このシリーズの事です。
>>55
嬉しいです。ありがとうございます。
衝動的にやってしまう様です 絵里「〜ッッッ」
絵里「……っ」チラッ
絵里「…………あれ?」
絵里「……」
絵里「……どこ?ここ」
絵里「えっ、ホントにどこ!?どこなのっ!?」
絵里「ぇええっ!!?い、いつの間に来たの!?こんな雑木林みたいな場所っ!」
絵里「し、しかも……なんだか大っきな岩だらけだし……っ」
絵里「地面もなんか……ゴロゴロしてるっ」
絵里「それにっ……なんなのよ?コレ……」スッ
絵里「緑色の板?……でも、なんか濡れてるわね。」グンッ
絵里「えっ、ツルツルする……」
モサッ
絵里「ひぃっ!!?」ズザッ
絵里「なになに!?この茶色いのなに!?」
絵里「〜っ」
絵里「わ、藁?藁の寄せ集め……?」
絵里「えっ、藁で出来た壁?……でも、そんなのってある?」
絵里「あ、なんかスカスカする」
絵里「でも、これってホントに壁なの?こんな林のど真ん中に?」
絵里「……あっちまで続いてる。」
絵里「こ、この壁の向こうに行けたりするのかしら……っ」
絵里「うぅっ、なんか変なのがいたら……いやっ、」
絵里「壁。コレは壁なのよ。そう、ただのスカスカでモサモサの壁。」
絵里「なんだか不均一で……上の方がちょっと曲線になってる、ただの壁よっ。」
絵里「大丈夫よ、エリチカ。ただの壁に怯える私じゃないでしょ……」
絵里「ん?」
絵里「──あっ!」
絵里「や、やったっ、出口っ、出口だわ!」
絵里「ここから、きっと壁の向こう側に……」スッ
絵里「……えっ、」
絵里「な、なによコレっ……おかしいでしょ、」
絵里「かべ……壁でしょ?コレ、」
絵里「こんなの……これじゃまるでっ、」
絵里「電車の乗り口みたいじゃ──」
『Onid ydych chi'n reidio?』
(乗らないのかい?)
絵里「ひいぃぃぃっ!!?」ズザァッ
『!』
絵里「ぁ……ぁぅ……っ、あっ、」
『……』
『…Os nad ydych chi'n llygoden, peidiwch â phoeni』
(……ネズミじゃないのなら、気に留める必要はないよ)
絵里「え!?ああっ!あのあのっ!」
絵里「わ、わたっ!ちがっ……かべ!かべがモサでアレしてて……っ!」
『Oni ysgrifennoch chi'ch gwir enw? Yna does dim problem』
(真名は書かなかったんだろう?なら問題はないさ)グイッ
絵里「えっ!?ちょ、ちょっと!?」ヨロッ
『Wel, dynes hardd. Wedi dod ymlaen』
(さぁ、綺麗なお嬢さん。乗った乗った)グッ
絵里「ぇえ〜っ!!?ちょっと待ってぇええええっ!!!」バタバタッ
プシュ-…ガタンッ
絵里「ひぃっ、ひいぃぃぃっ……っ」
絵里(の、乗っちゃった……っ、よく分かんないのに乗っちゃった……)
……ゥゥゥウウウイイイイインッ
絵里(ひぅ!?う、動き出したっ!!)
絵里(どどっ、どうするの!?どうやって降りるの!?コレ!)
絵里(てゆーかっ!!壁じゃなかったのコレェ!!?電車!!?電車ってなにっ!!?)
絵里(あぁあぁぁ……そんなぁ……っ)ヘタッ
絵里(ただ山の中を散歩してただけなのに……なんでこんなっ……こんな目にぃ……)
絵里「〜っ」
絵里「……だめだめっ、落ち着いて、落ち着くのよ。」
絵里「パニックになったらダメ。ヤケにもなっちゃダメ。」
絵里「……そう。みんなの事を思い出すのよ。必ずみんなの所へ帰るのっ」
絵里「すぅっ、はあぁぁぁ……」
絵里「……」
絵里「よし。」
絵里(……そうね、先ずは今の状況を把握しましょう。)
絵里(田園で花陽と別れて、山の中を散歩してたら、何故かワンちゃんを見つけて)
絵里(そのワンちゃんを撫でてたら、急に周りの木とかが大きくなって)
絵里(気が付いたら変な雑木林に居て、そしたらモサモサの壁を見つけて、でもそれは壁じゃなくて電車で……)
絵里「……」
絵里「意味わかんない。」
絵里「もういいわ。この中の様子を調べましょう。」
絵里「……えっと、ここから車両に移るのよね?」
ガラッ
絵里「──ッ!!?」
絵里(…………なっ、なに?これっ)
絵里(……ほ、ホントになんなの?ここ、電車みたいな感じだけど、雰囲気がだいぶ……)
〜♪
絵里(え?この音……)
絵里(ん?ん?なんか聞いたことある様な……あっ!)
絵里「これ"неделька"(一週間)ね!」
〜♪
絵里「……ちょっと音程が狂ってるけど、なんだか久しぶりに聴いたわ」
絵里「それにコレって、もしかしてギターじゃなくて……バラライカ?」
〜♪
絵里(あぁっ、なんか……知ってる曲を聞くだけで少し安心する。)
『Hei! Mae'n swnllyd!!』
(おい!うるさいぞ!!)
絵里「!?」
……。
絵里「うっ……」
絵里「と、取り敢えず、何処かに座ろうかしら……」
ウロウロ
絵里(このまま立ってる訳にもいかないし……この人の隣に座らせて貰いましょう)チラッ
『……』
絵里「……あ、あのぅ、」
『?』
絵里「すみませんっ。と、隣の席……宜しいですか?」
『Helo, merch ifanc』
(こんにちは、お嬢さん)
絵里「え"っ」
『Oes gennych chi sigarét?』スッ
(タバコ持ってる?)
絵里(え!?な、なに!?そのジェスチャーっ!?)
『……』
絵里「ぁ……え、えっと……っ」
絵里(どど、どうしよう……。さっきから聞いてたけどコレ、日本語でも英語でも、ましてやロシア語でもない……)
『Rhowch bethau da』スッ
(良いものあげるからさ)
絵里(え?な、なにコレ、きのこ?)
絵里(……うっ!?す、凄い臭いがするっ)
絵里「あ、あの!」
『……』
絵里「きゃ、きゃんゆーすぴーくじゃぱにーず?」
『Beth ydych chi'n ei ddweud?』
(何言ってるの?)
絵里「〜っ」
絵里「ズ……Здравствуйте!」ニコッ
(こんにちは!)
『?』
絵里(……くっ///バカなの?わたしはっ。英語でもロシア語でもないって分かってたのに、何やってるのよ!)
『merch ifanc?』
(どうしたの?)
絵里「す、すみませんでしたぁ!!」ダッ
『Arhoswch funud!』
(ちょっと待ってよ!)
タッタッタッタッ……
絵里(あーもぅーっ!!要らない恥かいちゃったよぉ〜!)///
絵里(あの人たちの言葉全然分かんないし……)
絵里「うぅ……どっか、人の居ないとこに座りたい……」
ガンバラネ-バネ-バネバギブアプ♪
絵里「!」
【小泉花陽】
絵里(あ、ヤバッ)ナ-ナナナ-ナナ-リタイナ!
pi!
絵里「も、もしもし?」
『絵里ちゃん?今どこにいるの?』
絵里「あー、えぇーっとぉ……」
『……なんか、変な音が聴こえるよ?』
絵里「!」
絵里(ま、不味いわっ……、説明できるほど今の状況を把握してない……っ)
『もしかして、何かに乗ってる?』
絵里「うっ、ぇえっと……」
『?』
絵里「と、トレインに……?」
『えっ、トイレ!?』
絵里「あ、ち、違うの!トイレじゃなくて……」
絵里「えっとぉ……その……」
『大丈夫?まさか、何かあった?』
絵里「な、何かがあったってゆーか……」
絵里(どっ、どーするの絵里!?かんがえるのよ絵里っ!!)
絵里「──あっ!」
『え?』
絵里「そ、そう!実はわたし、これからロシアに行かなくちゃならなくなったの!」
『え……ぇええええっ!!?』
絵里「〜っ」
『なっ、なんで!?』
絵里「ぅ、そ、それはね?あの……なんて言いましょうか……」
絵里「えっとぉ、その……一身上の都合……みたいな感じだったり?」
『一身……あ、』
絵里「だ、だからね?」
『……ごめんね、絵里ちゃん。』
絵里「へ?」
『そう言う事って、ホントにいつ起こるか分からないもんね……』
絵里「???」
『でも、これだけは忘れないで』
『私たちは、どんな時でも絵里ちゃんと一緒だからっ』
絵里「は、花陽……?」
『……っ、』グスッ
『き、気をつけてね?絵里ちゃん。辛くなったら直ぐに連絡してね?』
絵里「えっと、あのっ、」
『あ、長々とごめんね。じゃあ、また学校で会おうね?』
絵里「え?は、花y」プツンッ
ツ-ッ ツ-ッ
絵里「……」
ピ-ッ ピ-ッ
絵里「!?」
【バッテリー切れ】
絵里「……ぇ」
絵里「ぇええぇえええええっ!!?!?」
『Mae'n swnllyd!!』
(うるさいぞっ!!)
絵里「うっ!?す、すみませんっ!」
絵里「……うぅっ、どうしようっ」
絵里「これじゃ、助けを呼ぶことも出来ないじゃないのよぉ……」
絵里「こんな……訳の分からない乗り物の中で……」
絵里「し、しかもっ、どこに向かってるのかすらも分かんないのに……」
絵里「!」
絵里「…………え、ちょっと待って、」
絵里「そもそもコレ……本当にこの世のものなの……?」
絵里「……」
絵里「……そう言えば、小ちゃい頃に家族と観た銀河鉄道の夜。ちょうどこんな感じだった様な気がする……」
絵里「そう。最後は、ジョバンニを置いてカムパネルラだけ降りて行っちゃうのよね。……石炭袋だっけ、」
絵里「あの、真っ暗な穴の中に……一人だけで……」
絵里「……」
絵里「Помогите-!! Помогите Джованни-!!!」ドンドンッ
(助けてぇーっ!!助けてジョバンニーっ!!!)
「Не бей в окно!!!」
(窓を叩くなっ!!!)
絵里「ッッッ」
絵里「だっ、ダメダメっ。またパニックになってる……」
絵里「……と、取り敢えず座りましょう、そうしましょうっ。」
絵里「そう……先ずは落ち着かなくちゃ……っ」
絵里「一番奥……出来れば隅っこに……」
絵里「あ!」
絵里(や、やった!誰も座ってない!)
ストッ
絵里「……よいしょっと、」
絵里(はぁ〜、やっと一息つけたぁ。)
絵里「ハァ……」
絵里(……それにしても、この電車みたいな乗り物、よく見たら少し地下鉄に似てるわね。本当に不思議。)
絵里(でも、床とか天井は変な木の皮みたいなので出来てるし、今私が座ってるとこも含めて、どの座席にも色んな色の綺麗な花びらが敷いてあるし……)
絵里(オマケに、あちこちに変なポスターは貼ってあるし、落書きも凄い。……全然読めないけど、)
ポ-ンッ
絵里「!」
[Dau grwban Wedi ymadael. nesaf Rhanbarth arfordirol Bedd14]
(二つ亀を出発しました。次は沿岸地域墓地14です。)
絵里「……なに?なんで言ったの?」
絵里「今のアレ、車内アナウンスよね?てゆー事は、次の停車駅の名前ってこと?」
絵里「うぅ……ど、どうしようっ。コレって早めに降りた方がいいよね……」
絵里「……よ、よしっ、次に停まったら絶対に降りるっ、絶対に降りるわy」
『hi yno』
(こんにちは)
絵里「ひひいぃぃっ!!?」
『… Ydy hi'n dda drws nesaf?』スッ
(……隣、良いかな?)
絵里「え!?あ、はいはいっ!」サッ
『Diolch yn fawr』ストッ
(ありがとう)
絵里「ど、どうぞどうぞっ」
絵里(しまった〜!隣にバッグ置いておくんだった〜!)
『……』
絵里「〜っ」
『…Mae'n gyflym heddiw. Rwy'n clywed bod gennych chi tachycardia』
(……今日はやたらと速くてね。頻脈だって聞いてるよ)
絵里「あ、あはは……」
『Mae'n ymddangos fy mod i'n hwyr oherwydd cerrig arennau. Yn ddiweddar, mae'n ymddangos bod helbul mewnol yn digwydd yn aml.』
(前は腎臓結石で遅れた様だし。最近、内部障害が頻繁に起きているみたいだ)
絵里「へ、へぇ〜」
『Mae'n ymddangos bod pobl y tu allan yn rhoi amryw bethau i mi, ond nid wyf yn arbenigwr』
(外の方々が色々としてくれている様だけど、なにぶん専門じゃないからね)
絵里「あ、あーあー!そうなんですか!最近天気悪いですもんねー、あはは……」
『……』
絵里「……うっ」
絵里(ど、どうしよう……怒らせちゃったかなぁ……)
『…Mae'n ddrwg gen i. Doeddwn i ddim yn gwybod mai chi oedd y person allanol』
(……すまないね。君も外の方だとは知らずに、勝手に話し込んでしまった)
絵里(あ、良かった。怒ってはいないみたい)
『Hyd yn oed os ydych chi'n cwrdd â'ch gilydd, mae'n beth rhwystredig nad yw'ch bwriadau'n cyfathrebu â'i gilydd.』
(折角の出逢いも、意思が通じ合わないのはもどかしい事この上ないね)
絵里「そ、そうかも知れないですねぇ〜っ」
『……』
絵里「ッッッ」
『……』
絵里(な、なにか喋ってよっ……心臓が潰れそうだわ……っ)
プシュ-ッ
絵里「!?」
『Wps, yma.』スッ
(おっと、此処だ。)
絵里「あ。ど、どきますねっ」
『─Os ydych chi'n ei hoffi Ewch i ddychwelyd』
(──宜しかったらコレを。行きと帰りにどうぞ)スッ
絵里「え?」
『Dewch i ni gwrdd eto. Dynes egsotig ryfeddol』
(では、また逢いましょう。異邦の素敵なお嬢さん)スタッ
絵里「あ、あの!」
ガタッ
絵里「……」
絵里「……なにか、貰っちゃった」
絵里「コレって、飴?」
絵里「とっても綺麗な包装紙だけど、なんだか見たことのない形してるわね。二つとも違う形してる」
絵里「……」
絵里「……折角だし、一個食べてみよっかな」
ガサガサ
絵里「あ、綺麗な色♪それに、なんだか花みたいな香りがするわ。」
絵里「ふふ。頂きまぁーす」
絵里「……あぁ、そう。コレよコレ。」
絵里「まさに今、私が欲しかった味と風味だわ」
絵里「そうそう。柔らかい味と、どこか懐かしい香りが口の中に広がって……」
絵里「……うん……落ち着いて…………すごく…………いい……味…………」
絵里「…………」
…
………
………………
……リ-
「んん、」
エリチャ-ン
「なぁに、誰なの?」
えりち〜
「うるさいわね。少し静かにしなさい」
エリー、返事しなさい。
「なによもう、してるじゃないの」
駄目だよ。ポンコツスイッチが入ってるにゃ
「……待ちなさい。今ポンコツって言ったのダレ?」
貴方がいつまでも寝ているからです。
「しょうがないじゃない。緊張してばっかりだったんだから、少しくらい寝させてよ。」
……緊張?なにがあったの?
「なにがって……」
「あ!そうそう。わたし犬を見つけたのよ!」
犬?それはどんなワンワン?
「えっとね、胴長短足の子よ。可愛らしいの。」
あぁ。ソレって滅茶苦茶長いやつね
「長い?なにが?」
胴体がよ。なんでも3万キロはあるらしいわ。
えぇ。最近具合が悪いそうですが、撫でると喜びますよ。
「……なにを言ってるの?」
色んな方が利用されてるんだから、迷惑かけたら駄目よ?
「め、迷惑だなんてっ……そんなつもりは全くないの!私はただ──」
そうだね。まず私たちが言えることは……
「起きろぉおおおぉおおおおおおっっっ!!!!!」
「きゃあああぁああぁぁぁああああああっっっ!!!!!!!?!?」
絵里「うわぁあああっ!!!」ガバッ
絵里「ハァッ、ハァッ、ハァ……っ」
絵里「……っ」
絵里「……ね、寝ちゃってたの?」
絵里「……」
絵里「……はあぁぁぁ。起きても醒めないこの悪夢……」
絵里「コレが普通の電車だと思えたなら、どんなに幸せなんでしょうね」
絵里「……ハァ。今、何時なんだろ」スッ
絵里「……」
絵里「あ、スマホの電池切れてるんだった」
絵里「……まぁ、いいや。」
絵里「……」
絵里「──んっ!!?」ガタッ
絵里「と、止まってるじゃないっ!!早く降りなきゃ!!」バッ
ガヤガヤッ
絵里「うっ、な、なんで通路で固まってるのよ……」
絵里「す、すいませぇ〜ん!降りまぁ〜す!」グイッ
絵里「あっ、ごめんなさい!ちょっと通りますねぇ〜!」グイッ
絵里「ぐぬぬぬっ!す、すみっ、ませーんっ!」ググッ
スポッ!
絵里「ハァッ!ハァッ……っ」
絵里「や、やっと降りれたっ」
絵里「……ふっ、」
絵里「ふふっ、ふふふっ、」
絵里「やったっ!やったぁああああっ!!!」
絵里「降りれたっ!降りれたわっ!!」
絵里「普通の地面っ!普通の景色!」
絵里「変な天井もモサモサもない!普通の場所!」
絵里「そう!普通……の……?」
絵里「……」
絵里「……ここ、なんか見たことある。」
絵里「なんだろう。心なしか懐かしい匂いがする」クンクン
絵里「なんか、小さい頃によく亜里沙と遊んでた場所に似ている気がするわ。」
絵里「あ、そうそう!こんな茂みがあったわね。街中から少し離れてて、寂しいけど冒険が出来そうな……」
絵里「うん、ビックリするくらいそっくり」
絵里「そっくり過ぎるわね〜」
絵里「……」
絵里「!!?!?」
絵里「えっ……ここって……」
絵里「も、もしかして──ッ!!」ダッ
───
─
すみません。
今日はここで切らせて頂きます
明日の夜にまた更新しますので、
どうか宜しくお願いします。
>>37です。
そうか、このシリーズも今年一杯なのか。
残念には思いますが、どのような結末になるか見届けたく存じます。続き、待ってます。 >>107
ありがとうございます。
あの言語はウェールズ語と言いまして
イギリス連合国を構成する4つの国の一つ
ウェールズ公国の公用語です。
私も、このSCiPで初めて知りました。
>>108
すみません。
一応、番外編も含めて
あと8つのお話を書いているのですが
その8作で打ち止めとさせて頂くつもりです。
ですが、報告書や収容違反シリーズ以外でも、
これから書かせて頂きたいと思っておりますので
どうかまた、長くお付き合い頂ければ嬉しい限りです。
>>109
どうやらそうなってしまった様ですね。
花陽には可哀想ですが、 タッタッタッタッ!
「ハァッ、ハァッ、ハァッ!」タッタッタッ
ズザッ
絵里「や、やっぱりっ!」
絵里「この街並み……間違いないわっ!」ハァッハァッ
絵里「時間は分からないけど、日の登り具合から見て、まだ午前中のハズ。」
絵里「……よしっ!」
絵里「ッ」ザッ
「…Хм? 」
(……ん?)
絵里「〜ッッッ」タッタッ
「Привет!」
(おーい!)
絵里「えっ!?」ビタッ
「давно не виделись」
(久しぶりだね。)
絵里(……あ、このお爺さんっ!)
絵里「Д …Давно не виделись!」ペコッ
(お、お久しぶりです!)
「Ты вырос. Хочешь пойти к бабушке?」
(大きくなったね。お婆さんの所へ行くのかい?)
絵里「Это правильно. Только что вернулся…」
(そうなんです。さっき帰って来たばかりで……)
「Бабушка тоже будет счастлива. Проводить время неторопливо」
(お婆さんも喜ぶだろう。ゆっくりして行きなさい。)
絵里「Спасибо! Я пойду!」
(ありがとうございます!)
絵里「потому что это плохо, если я заставлю тебя ждать」
(待たせたら悪いので、もう行きますね)
「да. быть осторожен」
(あぁ。気をつけてね)
絵里「Увидимся!」ダッ
(それじゃあまた!)
タッタッタッ
絵里(うわぁ、久しぶりにロシア語でいっぱい話しちゃった……)
絵里(定期的に喋ってはいるんだし、……大丈夫よね?)
──ザッ。
絵里「……つ、着いたっ。」ハァッ ハァッ
絵里「〜っ」スッ
ピンポ-ン
絵里「……」
絵里「……」
絵里「……あれ?」
絵里「も、もう一回っ」スッ
ピンポ-ン
絵里「……」
絵里「……もしかして、まだ寝てるのかしら?」
ガチャンッ
絵里「!?」
『Шумный. По телевизору показывали хорошую сцену…』
(うるさいわねぇ、せっかくテレビがいい所だったのに……)
ギギィッ
祖母『──はぁい。どちら様なn』
絵里『お婆さまぁーーっ!!!』ガバッ
祖母『!?』
絵里『お婆さま!絵里です!』ギュッ
祖母『え?ぇえ?』
絵里『急に尋ねてしまってごめんなさい。でも、どうしてもお婆さまに会いたくてっ』
祖母『……』
絵里『……お婆さま?』
祖母『……』
祖母『……イヤねぇ。耄碌も過ぎると、幻覚まで見る様になるのかしら、』
絵里『え?』
祖母『……』スッ
prrr!prrr!
絵里『お婆さま?あの……』
prrガチャ
祖母『──あぁ、私よ。貴方いま、日本にいるのよね?……そう。』
祖母『いい?今から大事な話をするから、よーくお聞き。……あのね、』
祖母『私の可愛いエリーチカが、天国から迎えに来たの』
絵里『!?』
祖母『……え?お昼寝?してないわよ。まだそんな時間じゃないもの』
祖母『夢でも見た?馬鹿おっしゃい。現に今、私の目の前にいるわ』
絵里『お、お婆さま?どうか落ち着いて──』スッ
祖母『!』
祖母『ほ、ほら見なさい!今も私を連れて行こうと、可愛い手をコチラに差し出しているのよ!?』
祖母『電話だから見えない!?そんなの当たり前でしょうっ!!』
絵里『……』
祖母『病院!?何処の病院に連れて行く気なの!?貴方の言う病院は収容も兼ねてる所じゃないの!?』
祖母『馬鹿も休み休み言いなさい!……もし入院費なんて振り込んだらタダじゃおかないからね!フンッ!』ピッ!
絵里『……』
絵里(……なんでポンコツって言われるのか、やっと分かった気がする)
祖母『嗚呼、私の可愛いエリーチカ……。どうして私よりも先に逝ってしまうの……』
絵里『お、お婆さま!私、ちゃんと生きてます!ホラ!』パッ
祖母『最近の天使は、私服で迎えに来るのねぇ』
絵里『お婆さまっ!!!』ガシッ
祖母『!』
絵里『私ですっ!!正真正銘、エリーチカです!!』
祖母『……本物なの?』
絵里『本物です!』
祖母『……』
ガタッ
絵里『!』
祖母『お、お祝い!お祝いよぉ!!』
祖母『こうしちゃいられないわ!早くお料理を作らなくっちゃ──ッ!』
絵里『あ、あのっ』
祖母『待っててね!今、貴方の大好きなペリメニをテーブルいっぱいに作ってあげるからっ!』バッ
タッタッタッ
絵里「……お婆さまって、あんな感じだったかしら?」
『ほら!何をしているの!?早くお上がりなさいっ』
絵里『え?は、はい!』スッ
バタンッ
祖母『料理が出来るまで、しばらくゆっくりしててね。すぐに出来るから』
絵里『あ、ありがとうございます。』
スタッスタッスタッ……
絵里「……」
絵里「……」
絵里「……お婆さまの家だ。」
絵里「わたし今、お婆さまの家に居るのよね」
絵里「でも、ここにはお父さんもお母さんも、亜里沙も居ない……」
絵里「……」
絵里「……変な感じ。」
絵里「……」スッ
絵里「はあぁぁぁ……」
絵里「あぁ、落ち着く。」
絵里「……」
絵里「……ふふっ。ホント、今日はおかしな事ばっかりだったわね。」
絵里「突然変な場所に行ったり、モサモサの大きな壁を見つけたり」
日本とロシアの距離考えたら突然現れたらこんな反応にもなるわな
絵里「でも、壁だと思ってたのは、実は電車の入り口で、そこから更に変なことになっちゃって……」
絵里「乗客の人たちは全然言葉が通じないし……アレって何語だったのかしら?」
絵里「電車の内装も凄かったわよねぇ。木の皮とか花びらとか、おかしなポスターも色々と……」
絵里「……あは、あはははっ」
絵里「うふふっ、だめっ、思い出したらなんか笑えて来たわっ」
絵里「うっふっふっふっ……っ」
『さぁ、出来たわよ〜!』
絵里『あっ、はーい!』
祖母『さぁさぁ、おいでなさい』
絵里『はい。』
…………。
絵里『……わぁ、』
祖母『うふふ♪たんとお上がりなさいね?』
絵里『あ、あはは。ありがとうございますっ』
絵里(……多過ぎる。)
祖母『どうしたの?冷めてしまうわよ?』
絵里『あ!はい、いただきます。』スッ
絵里『……』パクッ
絵里『──ッ!』
祖母『ふふ。どうかしら?』ニコニコ
絵里『美味しい!やっぱり美味しいです!』
祖母『そう。いっぱいあるからね。』ニコニコ
絵里『はい!』パクパクッ
祖母『うふふ。』
絵里『はむはむっ』
祖母『……ところで、』
絵里『はむ?』
祖母『もしかして貴方、一人でここまで来たの?』
絵里『あ、えっと……』カチャ
絵里『一人で来たのは確かなんですけど……移動手段が特殊ってゆーか……』
祖母『どう言うこと?』
絵里『……突飛すぎて、信じてもらえるかは分からないんですけど、』
祖母『信じるわ。私のエリーチカが言うんですもの』
絵里『お婆さま……っ!』
祖母『さぁ、聞かせてちょうだい?』
絵里『はい。実は──』
───
─
絵里『……そうして、やっとお婆さまのお家へ辿り着いたんです。』
祖母『……』
絵里『〜っ』
祖母『ふむ。』
祖母『それは、きっとレーシーね。』
絵里『れ、レーシー?』
祖母『そう。この国に古くからいる精霊なのだけれど、』
祖母『それは森の中にいて、でも決して一所に落ち着かない。外見は獣の様な出立ちで、並外れた大きさを持った精霊なの』
絵里『は、はい!確かに森の中で藁みたいな、モサモサの何かに出会いました!』
祖母『そして、その精霊は人を森の中へ誘い、迷わせたりもするのだけれど』
祖母『レーシーはね、いつも煙草とお酒を欲しがっているの。それをあげると機嫌が良くなるって言われているわ』
絵里『煙草……そう言えば、電車の中で何かを物乞いされた様な気が……』
祖母『やっぱりレーシーよ。……あぁ、無事で良かったわっ。』
絵里『そうだったんだ……そんな存在に……』
絵里『──ん?でも、』
絵里『私が出会ったの、日本だったんですけど』
祖母『……』
絵里『それとも、日本にも居るのかしら?』
祖母『エリーチカ』
絵里『は、はい?』
祖母『……もう、夜中でもおトイレには行けるのかしら?』
絵里『なっ!と、突然なんですか!?』
祖母『懐かしいわねぇ。貴方たちがお泊まりに来ると、貴方は決まって夜中に私を起こしに来てたわ。』
祖母『そしていつも、どちらかを私に言ってくるのよ』
絵里『!?』
祖母『"お婆さま、おトイレ"』
祖母『若しくは"お婆さま、お漏らししちゃった"』
絵里『〜ッッッ///』
祖母『泣きながら寝床に来るものだから、ホント可愛らしくt』
絵里『お婆さまっ!!!』
祖母『フフフッ。』
絵里『もうっ!もうもうっ!』
絵里『子供の頃の話はやめて下さいっ///』
祖母『ふふっ、』
祖母『それが今では、こんなにも大きくなって……』スッ
絵里『〜っ』
祖母『……エリーチカ。』
絵里『な、なんですかっ。』
祖母『…………ダンスはもう、していないの?』
絵里『!』
祖母『……』
絵里『……いえ、わたしは、』
祖母『……』
絵里『本当にやりたい事を見つけたんです』
祖母『──ッ!』
絵里『それに、大事な仲間たちにも出会えました。』
絵里『だから、これからはその仲間たちと一緒に、また踊ろうって決心したんです!』
祖母『……』
フワ…
絵里『!?』
祖母『……』ギュッ
絵里『お、お婆……さま?』
祖母『……私の可愛いエリーチカ。』
祖母『貴方が、自分の手で幸せを見つけられたのなら、』
祖母『私は、それで十分なのよ。』
絵里『〜ッ』
絵里『……お婆さまっ』ギュッ
祖母『あらあら。』
絵里『っ……っっ』
祖母『ふふ。泣き虫はまだ治らないのかしら?』
絵里『っ』
絵里『……いえ、もう大丈夫です。』スッ
祖母『そう、偉いわ。』
絵里『ところで、お婆さま?』
祖母『なぁに?』
絵里『お母さんが、連休の終わりにはロシアに戻るって言ってましたけど、残り三日間もお一人で寂しくありませんか?』
祖母『……3日?何を言ってるの?』
絵里『え?』
祖母『明日には帰って来るわよ?』
絵里『……』
絵里『……お婆さま。』
祖母『?』
絵里『今日って……何曜日ですか?』
祖母『今日?今日は月曜日よ?』
絵里『げつ……よう……』
絵里『……』
祖母『エリーチカ?』
「うぇええええぇええええええええええええええっっっ!!?!!?!?」
すみません。
今日はここで切らせて頂きます
明日の夜にまた更新しますので、
どうか宜しくお願いします。
お疲れ様です!同じく、このオブジェクトで初めてウェールズ語を知りました。続きが楽しみです!
>>146
ありがとうございます
この後もホラー要素はありませんので、
どうかご安心ください。
>>147
労いのお言葉、痛み入ります。
このお話も折り返しを過ぎましたので
最後までお付き合い頂ければ幸いです。 ───
─
『……えぇ、そう。そうよ。』
祖母『うん。旅券の方は心配ないわ。失くしたって言えば、大使館の方で即日交付してくれるもの。お金も大丈夫。』
絵里『……』
祖母『そうね。今日の夜には送り届けられると思うから、貴方もちゃんと顔を見てからコッチに来るのよ?いい?』
祖母『……そう。それじゃあ、気を付けて帰って来なさい。』pi
祖母『──ふぅ。』
絵里『お、お婆さまっ、』
祖母『え?』
絵里『ご、ごめんなさい……』
祖母『なんの事かしら?』
絵里『だ、だって……その……』
祖母『……』
絵里『〜っ』
祖母『……ふふふっ、』
祖母『貴方、お漏らしした時とそっくりの顔してるわよ?』
絵里『!?』
絵里『そ、それはもういいですっ///』
祖母『それよりも、アッチは大騒ぎだったみたいよ?』
絵里『え?』
祖母『貴方のママ。今朝に私が電話した時は、まさか貴方がコッチにいるだなんて思わなかったらしくてね。』
祖母『日本の方で探すのに忙しくて、私の事なんかまったく相手にしてなかったって言うのよ?ホント失礼な子よねぇ』
絵里『は、ははっ、』
祖母『……ねぇ、エリーチカ。』
絵里『はい?』
祖母『貴方、携帯電話は持って来なかったの?』
絵里『……』
絵里『あっ!!』
祖母『……持って来なかったのね。』
絵里『ち、違うんですお婆さまっ!』
祖母『え?』
絵里『充電!充電させて下さいっ!!』
祖母『え、えぇ。大丈夫よ。』
絵里『──ッ!』ダッ
ゴソゴソッ
絵里「えっとえっとぉ……、確か下の方に……っ」
絵里「……あっ、あったぁ!」
カチッ
絵里「うぅ……きっとみんな怒ってるだろうなぁ……」
絵里「だって2日よ?2日間も音信不通って…」
絵里「私だったら多分……いえ、絶対に言葉じゃ済まさないわっ」
祖母『(なんて言ってるのかしら?)』
パッ
絵里「!」
祖母『あら、ついたわね』
prrrrr!
絵里「!?」
【矢澤にこ】
絵里(うっ、い、いま一番気まずい相手だわ……っ)prrrrr!
絵里(にこの事だもん……絶対怒鳴り散らして来るに決まってるわ……っ)prrrrr!
祖母『……』
絵里(……わたし、何にも悪くないのにっ)
『ちゃんと出てあげなさい。』
絵里「えっ」
祖母『貴方の事を心配してくれている方なのよ?貴方はそれで良いの?』
絵里「……お婆さま、」
祖母『叱るのは当然よ。だって、貴方のことが好きなんですもの。』
絵里「……」prrrrr!
pi
『こぉのどあほぉおおおぉおおおおおおぉおおおおおおおおおおおおっっっ!!!!!!!!!』
絵里「うぎっ!!?」
祖母『!』
『絵里っ!!!アンタ今までなにしてたのよぉ!!?!?』
絵里「あっ、に、にこ……っ?」
『無事なんでしょ!!?怪我はしてないんでしょ!!?もしかして具合悪くて動けないとかじゃないわよねっ!!?!?』
絵里「え、えぇ。私は大丈夫。どこも悪くなんてないわ。」
祖母『ふっふっふっ。』
絵里『お、お婆さま!』
祖母『あら、ごめんなさい。』
『ちょっと絵里っ!!聞いてんn』
『にこっち、少し落ち着いて。それじゃあ話も出来んよ?』
絵里「!」
『……代わるわ。』
『やっほ〜。えりち元気〜?』
絵里「あっ、の、のぞみ?」
『はいはい。貴方ののんたんですよ〜』
絵里「えっと……あの……」
『ほ〜んとビックリしたんよぉ?いきなり亜里沙ちゃんから電話が来てさ〜』
『"お姉ちゃん来てませんかっ!!?"』
絵里「!?」
『なぁ〜んて捲し立てて来るもんだから、コッチも焦っちゃってさ?』
絵里「あ、亜里沙は今どうしてるの!?」
『……あ〜、ごめんごめん。順番間違ったね』
絵里「へ?」
『チェンジ!』
絵里「???」
『──お姉ちゃんっ!!!』
絵里「あ、亜里沙っ!!?」
『お姉ちゃんっ!!お母さんから聞いたよっ!!!』
『なんで一人でお婆ちゃんの所に行ったのっ!!?なんで誰にも言わなかったのっ!!?』
絵里「うっ、そ、それは……っ」
祖母『……』
『信じらんないっ!!!どうしてこんな事したのっ!!?私たちがどれだけ心配したと思ってるのっ!!?』
絵里「うぅ……」
祖母『……』
祖母『エリーチカ、代わるわ。』
絵里「え?」
祖母『……』スッ
絵里「あっ」
祖母『……Ариса. давно не виделись. энергия?』
(亜里沙、久しぶりね。元気かしら?)
『お、お婆ちゃんっ!!?』
祖母『そう、お婆ちゃんよ。今はお家かしら?』
『ち、違うけど……それより、なんでお姉ちゃんがそこに──』
祖母『エリーチカはね、私が勝手に呼んだのよ。』
絵里「!!?」
『……え?ど、どう言うこと?』
祖母『連休初日に私が連絡したのよ。どうしてもこの子の顔が見たくなっちゃってね』
祖母『だから、この子も急遽空港に行ってコッチまで来てくれたみたいで、連絡やらなにやらを忘れちゃってたみたいね』
『……お婆ちゃん、』
絵里「ち、ちが──ッ」
祖母『ごめんなさいね。私のせいでみんなに迷惑を掛けてしまったわ』
絵里「〜っ」
祖母『エリーチカに手土産を持たせるから、それでどうか許して欲しいの』
『…………なんで私の事は……』
祖母『亜里沙、次は貴方のお顔がみたいわね。だから今度は、私がそっちへ行くわ。』
『……』
祖母『……胸いっぱい、貴方のことを抱きしめたいのよ』
『……待ってるからね。』
祖母『ふふっ。ありがとう、亜里沙。』
『ねぇ、お婆ちゃん。他の人たちもお話したいから、グループ通話にするね?』
祖母『グループ?なんのグループかしら?』
『あ、えっとね?お姉ちゃんに代わって貰ってもいい?』
祖母『えぇ。今代わるわ』
祖母『はい、亜里沙よ?』スッ
絵里『お、お婆さまっ!どうしてあんな事を!?』
祖母『これで良いの。こんなもので全てが丸く収まるのなら、安いものだわ。』
絵里『でもっ、お婆さまが……』
祖母『ほらほら、亜里沙が待ってるわよ?』
絵里『っ』スッ
絵里「……亜里沙。」
『お姉ちゃん。グループ通話にしたいから、一旦切るね?』
絵里「え?あ、分かったわ。」
『……直ぐに出てね?絶対だよ?』
絵里「もちろんよ。今度は大丈夫。」
『うん。』
プツッ
祖母『あら、切っちゃったの?』
絵里『いえ、これから友達みんなとお話するんです』
祖母『みんなと?何処かに集まってるの?』
絵里『あ、違うんです。電話を複数繋げてお話するってゆーか……』
祖母『え!?そんな事が出来るの!?』
絵里『は、はい。』
祖母『凄いわねぇ〜。便利な世の中になったものだわ〜』
絵里『あはは、』
prrrrr!
祖母『ほら!来たわよ!』
絵里(なんでこんなに嬉しそうなんだろ?)
pi
絵里「もしもし。」
『絵里ちゃん!!!大丈夫っ!!?』
絵里「〜ッッッ」キ-ンッ
絵里「そ、その声、穂乃果ね?」
『うんっ!!穂乃果だよっ!!』
絵里「声が聞けて良かったわ。私は大丈b」
『穂乃果!アナタ、もう少しボリュームを下げて喋りなさい!耳が痛くて敵いませんっ!』
『ぇえーっ!!?そんなに思いっきり喋ってないよ!?』
『地声がうるさいんですっ!!』
『海未ちゃんもじゃんっ!!』
絵里(……あぁ。このやり取り、なんだか安心するわ。)
『絵里ちゃ〜ん、元気〜?」
絵里「あ、ことりね?私は元気よ。」
『良かったぁ〜。本当に心配したんだよ〜?』
絵里「ごめんなさい。これからは気を付けるから、どうか許して欲しいの」
『うぅん。絵里ちゃんが無事なら、私はそれで十分だからぁ』
絵里「ことり……」
『でもね〜?』
『ホントはちょっと傷付いたから〜、何かお詫びの品が欲しいな〜』
絵里「え?」
『だ、だれ?』
『ことり〜、ロシア名物が食べたいなぁ〜』
絵里「……分かった。ことりが好きそうなのを買って帰るから。」
『ち、違うよ!?今のことりじゃないからね!?』
絵里「え?だ、だって……」
『今の声……凛ですね?』
絵里「ぇえ?」
『ピンポーン。あた〜り〜♪』
絵里「い、今の凛だったの!?」
『えへへ〜。気付かなかったでしょ〜?』
『もう、凛ちゃん。ダメだよ?』
絵里「ん?その声は……」
『絵里ちゃん、2日ぶりだね。』
絵里「花陽……貴方なのね。」
『うん。ちゃんとまたお話出来て、花陽嬉しいです。』
絵里「……あの時は、本当にごめんなさい。」
『……』
絵里「わたし──っ」
『いいの。気にしないで?』
絵里「っ」
『絵里ちゃんには、絵里ちゃんの事情があったんだから、私はなにも気にしないよ?』
『次にまた、ちゃんと会えるのなら、私はそれでいいの』
絵里「〜っ」
絵里「……ありがとう、花陽っ。」
『えへへ。』
『その様子だと、いつも通りって感じね』
絵里「……真姫?」
『えぇ、その通りよ。』
絵里「貴方にも、凄く心配を掛けてしまったわ。本当にごめんなさい。」
『……ま、明後日にちゃんと元気な顔を見せてちょうだい。』
『それで許してあげるわ。』
絵里「ふふっ。ありがとう。」
『どうせなら、ゆっくり観光でもして来たら?まぁ、貴方の場合は地元巡りなんでしょうけど』
絵里「うぅん。貴方たちの声を聞いてたら、なんだか無性に帰りたくなって来たの。」
絵里「もうすぐ帰るから、だから待っててね?」
『……絶対無事に帰って来るのよ?約束だから。』
絵里「うん。約束。」
『それじゃあ、またね。』
絵里「えぇ、まt」
『ぇええええっ!!?穂乃果まだ全然お話してないんだけど!?』
『凛もだよーっ!』
絵里「え、ええ?」
『貴方たちっ!!コレは国際電話なんですよっ!!?いくら掛かると思ってるんですか!!?』
『日本、ロシア間だと30秒で100円以上もするんですからねっ!!』
絵里「あ〜、私も忘れてたわ……」
『い、いま、何分話したのっ?』
『え〜っとぉ……じゅ、15分かなぁ?』
『えっとえっと……1分で200円だから……それに15をかけると……』
『この時間がすら無駄なんですっ!!いいから用件だけ早く言いなさいっ!!』
『ちょっと待ってよぉーっ!!』
絵里「だ、大丈夫?」
トントン
絵里「え?」
祖母『エリーチカ。一つだけ、貴方のお友達に伝えて欲しい事があるの』
絵里『あ、はい。なんですか?』
祖母『……その内、みんなでここへ遊びにおいでって、』
絵里『!』
絵里『はい!』
『これって、誰に請求が行くのかしら?』
『……もしもの時は、領収書を持って穂乃果の家に行きます。』
絵里「──ねぇ、みんな。」
『どうしたの?』
絵里「私のお婆さまからね、みんなへの伝言があるの」
『なになに!?絵里ちゃんのお婆ちゃんから!?』
絵里「えっと、」
絵里「その内、μ’s のみんなでここへ遊びにおいでって」
『行く行くー!絶対に行きます!』
『凛も行くにゃー!』
『ことりも行きますねぇ〜』
『は、花陽も、必ず行きますっ』
『その際は、日本の名物を持って参りますね。』
『ロシアの家庭料理が食べてみたいわ』
絵里「ふふっ。」
『えりち。早めに帰ってくるんよ?』
絵里「うん、そのつもり。」
『アンタ、変なとこに寄り道するんじゃないわよ?』
絵里「だ、大丈夫よっ。帰りは飛行機だもの」
『……帰りは?』
絵里「あ!ち、違う!帰りも飛行機だから大丈夫!」
『とにかく、私たち待ってるからね?分かった?』
絵里「う、うん。分かったわ。」
『お姉ちゃん、直ぐに帰って来てね?亜里沙も待ってるから』
絵里「えぇ。明日また会いましょう。」
『……じゃあ、もう切るね?』
絵里「うん。それじゃあ、またね。」
『うん、またね。』
プツッ
すみません。
今日はここで切らせて頂きます
明日の夜にまた更新しますので、
どうか宜しくお願いします。
>>37です。
そうか、ではあなたの作品をもう二度と読めなくなる訳ではないのですね。よかった。 >>187
はい。絵里の性格と、祖母に対する敬意を思って
恐らくこんな人柄なのでは、と言う
独断と偏見の元で書かせて頂きました。
>>188
ご心配をお掛けして申し訳ありません。
いつまでかは、私にも分かりませんが
当分は書かせて頂くつもりですので、
お付き合い頂けると嬉しいです。
>>189
ありがとうございます。
私にとって理想のお婆ちゃんを書いたのですが、
気に入って頂けて幸いです。 お待たせ致しました
今日でこのお話は終わりますので、
最後まで見て頂けると有り難いです。
───
─
『──気を付けて帰るのよ?』
絵里『もう、大丈夫ですよ。』
絵里『それに、あとは飛行機と電車に乗るだけですから』
祖母『そう?そう言って貴方、今回こんな事になったんじゃないの?』
絵里『こ、今回は特別だったんです!いつもは……っ』
祖母『いつもは?』
絵里『……』
絵里『……お婆さま。』
祖母『ん?』
絵里『私、もうお婆さまやみんなに迷惑を掛けない様に、強い人間になります。』
絵里『私一人じゃ、まだ何も出来ないんだって、強く思い知らされましたから……だから、』
祖母『……』
絵里『っ』
祖母『……その心掛けはとても立派だと思う。でもね、』
祖母『貴方が思ってる迷惑は、迷惑じゃないのよ?』
絵里『え?』
祖母『最初に大声で怒鳴ってたあの子。……もし、あの子が今の貴方と同じ状況になったら、貴方はどうする?』
絵里『それは……』
絵里『あっ』
祖母『そう言う事よ。なんでも一人で背負おうなんて思ったらダメ。それは傲慢と言うものよ?』
絵里『!』
祖母『ホント。貴方といい娘といい、どうして頭が固い所ばかり似るのかしら?』
絵里『……』
祖母『ねぇ?』
絵里『……ふふっ。』
絵里『それはきっと、二人ともお婆さまに似たんだと思います』
祖母『まぁ、エリーチカまで嫌味を言う様になったわ』
絵里『ふっふっふっ。』
絵里『あ、お婆さま。』
祖母『なぁに?』
絵里『一つ、お願いがあるんです。』
絵里『昔、私と亜里沙がよく遊んでいた場所を覚えてますか?』
祖母『もちろんよ。何度貴方たちをお迎えに行ったか分からないもの』
絵里『その奥の茂み。そこに、どうかお花を添えて貰えませんか?』
祖母『それは良いけど、どうして?』
絵里『妖精さんへのお礼です。』
祖母『……あぁ、』
祖母『そうね。分かったわ。』
絵里『ありがとうございます。』
ガチャッ
絵里『それじゃあお婆さま、また年末に来ますので。』
祖母『あら、私はいつでも良いのよ?』
絵里『……ふふっ、』
ギュッ
祖母『!』
絵里『……愛してます。お婆さま。』
スッ
絵里『それじゃあまた!』タッ
タッタッタッタッ……
祖母『……』
祖母『……私も、愛してるわよ。』
テクッ テクッ。
祖母『それにしても……』
祖母『お金もない。旅券もない。オマケに移動手段もよく分からない。本当に不思議な話よね。』
祖母『……うん。どう考えてもコレ、精霊の悪戯としか思えないわ。」
祖母『よく考えたらすごい事だわ。まさか孫がこんな体験をするだなんて……やっぱり長生きはするものねぇ』
祖母『──ん?』
祖母『あらやだ。そう言えばお金が無いんだったわ』
スタッ スタッ。
祖母『空港って便利よねぇ〜。大体なんでも揃ってるんだもの』
祖母『ここまで来たついでに買い物も済ませようかしら。……あれ?』
祖母『おかしいわね。一昨日下ろしたばかりなのに、なんだか残高が増えてる様な……』
祖母『!』
祖母『あの子──ッ!!』
………………
………
…
ガチャッ
「ただいまー」
バタンッ
絵里「……」
絵里「……誰もいないのね。」
絵里「よいっしょっとぉ、」
絵里「ふぅ、やっと帰って来れたわ」
絵里「……はあぁぁぁぁ、」
ポスッ
絵里「……」
絵里「……自分のベッドさいこぉ〜。」
絵里「お家がこんなにありがたく感じる日が来るなんてねぇ。我が家バンザイだわ〜」
絵里「とりあえず、少し休んでから着替えようかしら。……うん、そうしよう。」
絵里「だって10時間は辛いんだもの〜、何かこう、一瞬でロシアに行ける方法ってないのかなぁ?」
絵里「……」
絵里「……いえ、やっぱ要らないわ。」
絵里「もう訳の分からない事は懲り懲りよぉ。」
絵里「そう……懲り懲り……」ウト…
絵里「…………」
コンコンッ
絵里「!」ビクッ
……。
絵里「……え?なに?」
コンコンッ
絵里「!?」
チチッ
絵里「……と、鳥?」
……。
絵里「……」
コンコンッ
絵里「……えっ、」
絵里「も、もしかして、窓を開けてって言ってるの?」
……
絵里「っ」スッ
ガラガラッ
「チチッ」
パタパタッ
絵里「えっ、ぇえ!?は、入って来ちゃった……」
「チッチチッ」
絵里「──ん?」
「……」
絵里「……アナタ、足に何か付けてるの?」
「……」スッ
絵里「え?あ、足のヤツを取れってこと?」
絵里「えっと……ち、ちょっと待ってね?」スッ
「……」
絵里「貴方、賢すぎない?ホントに鳥?」
「チチッ」
絵里「……さぁ、取れたわ。もう大丈夫よ。」
「──チチッ」バッ
絵里「!」
パタパタパタ……
絵里「……行っちゃった。」
絵里「それにしてもコレ、何かしら?」
絵里「あ、手紙じゃないの!」
絵里「凄い凄い!あの子、伝書鳩だったのね!……鳩じゃなかったけど、」
絵里「素敵〜♪こんなの初めてだわ〜♪」
絵里「さて、一体どんな事が書かれているのかしら?」ワクワク
カサッ
────────────────────
─ Diolch am ddefnyddio ein System
C・O・R・G・I.
Ar gyfer datblygu'r system gan Kore, ysgrifennwch eich argraff ar y reid hon yn y cerdyn post yma.
Hefyd, fel ar gyfer y cerdyn post yma, bydd y aderyn y to yn dod i'ch cartref yn nes ymlaen.
Diolch am gysylltu â hynny.
Ac rydym yn ddiolchgar iawn i'n cwsmeriaid am eu cefnogaeth. Derbyniwch yr anrheg gennym ni, er ei fod yn dyner.
Swyddog Trafnidiaeth, G Fox Menig
Cyngor Talysteig
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絵里「……」
絵里「……」スッ
スッスッスッ
絵里「……ん、ウェールズ語?あ、イギリスにある国の公用語なのね。」
絵里「……」
絵里「イギリスッ!!?!?」
絵里「えっ、なんで!?あの子イギリスから来たの!?」
絵里「す、凄いっ!!イギリスの人からお手紙貰っちゃったわ!!」
絵里「……でも、なんでウチに来たのかしら?もしかして間違っちゃったとか?」
絵里「ん〜。住所さえ分かればそこへ送ってあげられるんだけど、ウェールズ語って……」
絵里「こんなの、翻訳しないと絶対に読めないじゃないの。……もうっ、」
絵里「はぁ、打つの面倒くさいわね」
絵里「……」スッスッ
絵里「……よし、翻訳っと」
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この度は、我がC.O.R.G.Iシステムをご利用頂き、誠にありがとうございます。
これからのシステム発展の為に、今回ご乗車頂いた際のご感想を、コチラの葉書にご記入下さります様、何卒お願い致します。
また、葉書は後日、スズメがご自宅へとお伺いしますので、そちらへ結び付けて下さい。
そして、先日頂いたお客様のお心添えに、我々一同大変に感謝しております。
細やかでは御座いますが、私達からの贈り物を受け取ってください。
運送管理官、Gフォックスグローブ
タルイステーグ評議会
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絵里「……コーギー?これ、コーギーって読むの?システム?」
絵里「私、何か使ったかしら?全然記憶にないんだけど」
ピラッ
絵里「!」
絵里「……コレって、花?何かの花よね?」
絵里「ん?待って。ご乗車……ご乗車って……」
絵里「──ッ!!」
……ダダダダダダ ダ ダッ!
「お姉ちゃんっ!!!」ガチャ
絵里「あ、亜里沙!?」
亜里沙「ホントにお姉ちゃんだよね!!?」
絵里「当たり前でしょう?」
亜里沙「〜っ」
絵里「……あ、」
絵里「え、えっと……今まで、心配かけてごめんね?」
亜里沙「……うぅん。それはもう良いの。」
亜里沙「お姉ちゃんが無事に帰って来てくれたから、だからもういい」
絵里「……亜里沙、ただいま。」
亜里沙「うん。おかえり。」
亜里沙「穂乃果さんたちも凄く心配してたから、後で一緒に会いに行こう?」
絵里「えぇ。そうしてくれると助かるわ」
亜里沙「お婆ちゃんは元気だった?」
絵里「えぇ。家の中を走り回るくらいには元気だったみたいね」
亜里沙「良かったぁ〜」
絵里「もしかしたら、近いうちにひょっこり来るかもしれないわね。」
亜里沙「あはは、お婆ちゃんの事だからホントに来そうだねぇ」
亜里沙「──ん?」
亜里沙「お姉ちゃん。その手に持ってるの……お花?」
絵里「あら、気付いた?」
亜里沙「うわぁ〜、とっても可愛い花だねぇ。見た事ないくらい綺麗な色してるね」
絵里「ふふ、そうでしょ?だって──」
絵里「素敵な旅の思い出だもの♪」
【おわり】
いつも楽しいお話ありがとうございます。あなたのペースでお書き下さい。待つことは全く苦痛ではありません。次回も楽しみにしております。乙!