
コロナウイルス影響にもジェンダー格差。医療従事者の7割は女性。日本は男女別のデータ収集と分析を
(略)
国連は、職種の性別分業の傾向が、女性の新型コロナウイルスへの感染リスクを高めると警鐘を鳴らしている。
世界的にみると、ウイルスと最前線で戦っている医療従事者の70%が女性だ。日本でも、女性の割合は世界の傾向と大きく変わらない。
医師の女性の割合は約2割にとどまっているが、保健師、看護師、准看護師は、いずれも女性が9割以上を占めている。介護職員も7割が女性だ。
日本の医療従事者の感染者の男女別データは公表されていないが、スペインやイタリアの医療従事者の感染者の約7割が女性だと、明らかになっている。
20代の女性に感染が多い理由
東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト 5月18日時点のデータを元に筆者が作成。
東京都の陽性者5065人の性別の内訳をみると、男性が57%、女性が43%(5月18日20時時点、性別不明除く)。
ところがさらに詳しく、人口10万人当たりの感染者を年代別・男女別で分析すると、興味深い事実が明らかになる。
人口10万人当たりの感染者数は、男性は、年代ごとに大きなばらつきがないのに対して、女性は、明らかに20代が多い。
20代の人口10万人あたりの感染者数は、男性の48人に対して女性は54人。
もともとの感染者数が極端に少ない10代未満を除くと、唯一、女性の感染者の方が多い年代なのだ。
20代女性の感染が多い傾向は全国的にもみられている。
専門家は医療や介護、接客業など職業の性別・年齢の傾向によって、感染リスクが異なる可能性を指摘している。
男女の経済格差がより深刻に
ロックダウンや外出自粛による経済打撃の影響も、平等ではない。
世界的にみると男女の賃金格差では、女性の賃金は男性に比べて20%低くなっているが、日本も例外ではない。
むしろ、日本の男女の賃金格差は24.5%にのぼり、OECD諸国の中では3番目に格差が大きい。
雇用形態についても、経済悪化の影響を特に受けやすい非正規雇用の労働者の割合をみると,女性は56.1%にのぼり、男性の 22.2%よりはるかに大きい。
日本の約140万のひとり親世帯のうち、シングルマザーの平均年収は約200万円で、シングルファザーの約半分にしか満たない。
有志団体が全国のシングルマザーを対象に、コロナの影響を聞いた調査によると、9割が収入が減少したと答え、
食費を切り詰めたり、貯金を切り崩したりして工面している状況が明らかになっている。
新型コロナウイルスが収束に向かい、経済再開へとフェーズが進むうえでも、このような構造的な格差を念頭にした政策が強く求められている。
厚生労働省は、「現状では感染者・死亡者の数を把握するのが精一杯で、男女別のデータ解析は特に検討していない」としている。
しかし、効果的な新型コロナウイルスへの対応策は、既存の健康、経済、そして社会の構造や格差を考慮しなければならない。
その第一歩として、男女別のデータを収集し、性別やジェンダーによる脆弱性、またそれらの直接的・間接的影響を分析し、対策に反映させることは不可欠だ。
ソースから抜粋
https://www.businessinsider.jp/post-212712